特集/Pickup
ワンちゃんが生きてくために
必要不可欠なごはん。
どんなものをどのくらい食べさせるかは、
飼い主さん次第
といっても
過言ではありません。
愛犬と健やかに暮らすため、
一緒にごはんの基本を学びましょう!
監修
石村 拓也先生 /
シリウス犬猫病院院長
獣医師。川崎市獣医師会、日本獣医皮膚科学会、耳研究会、日本獣医輸血研究会所属。東京農工大学農学部獣医学科を卒業後、横浜市内動物病院での勤務を経て2017年3月にシリウス犬猫病院を開院。「大切な愛犬・愛猫との生活を全面サポート!!」をモットーに皮膚、耳科病の診療に高い専門性を持ち、幅広い診察を行っている。
ドッグフードの選び方
まずは「総合栄養食」を用意しよう
すべての基本になるドッグフードは「総合栄養食」。メインであげるごはんで、
水とこれさえ食べておけば、ワンちゃんは必要な栄養を摂取できます。したがって、
まずはパッケージに「総合栄養食」の記載があるものを選びましょう。また、パッ
ケージに適した犬種や年齢が併記されているものも多いため、あわせてチェックして
ください。
ドッグフードは、柔らかさに応じて「ドライ」「ソフトドライ」「セミモイスト」
「ウェット」といった区分があります。いわゆる“カリカリ”などといわれるドライ
タイプはもっとも水分量が少なく、長期保存にすぐれ手間がかからないメリットが
あります。反面、ごはんで水分を補いにくい一面もあります。
トッピングでごはんのアレンジも
ごはんの食いつきが良くないときは、市販のドッグフードにトッピングも効果的です。ワンちゃん用のささみやおやつ、チーズなどを上にトッピングして様子を見てみてください。ごはん用のふりかけなどもありますよ。トッピング素材を細かくする際は、フードクラッシャーなどのアイテムを使うと便利です。
ごはんをあげるときのコツ
ドライフードは、ふやかしてあげても◎
子犬やシニア犬は、ドライフードを水でふやかしてあげてもよいでしょう。フードが柔らかくなり、そのまま食べるよりも喉につまらせにくくなります。水分も一緒に摂れ、消化にもよくなります。
また、ドライフードはふやかすことで風味が増します。成犬のワンちゃんでも、「最近あまりドライフードを食べなくなったな…」といった場合に、ふやかしてあげてみると、再び食べてくれることもあります。ただし、ふやかしたドライフードやウェットフードは水分量が多く、歯の汚れや歯石になりやすいごはんなので注意しましょう。
トッピングでごはんのアレンジも
ごはんの食いつきが良くないときは、市販のドッグフードにトッピングも効果的です。ワンちゃん用のささみやおやつ、チーズなどを上にトッピングして様子を見てみてください。ごはん用のふりかけなどもありますよ。トッピング素材を細かくする際は、フードクラッシャーなどのアイテムを使うと便利です。
ごはんの量
パッケージを目安に、状況を見極めて
調節できるとベスト
ほとんどのドッグフードは、パッケージの裏面に目安の量が記載してあるので、それに従いましょう。
ワンちゃんの体重に応じた量になっていることが多いので、日頃から愛犬の体重をしっかり把握して
おくとよいでしょう。
ただし、ワンちゃんの運動量などの個体差、また季節要因によって1日に必要なエネルギー量は変わっ
てきます。それに伴い食事の量も異なりますので、飼い主さんが状況を見極めながら調節してあげてく
ださい。愛犬が1日に必要なエネルギー量を算出し、ごはんをあげる回数で配分してあげられるとよい
ですね。
厳密な計算方法を知りたい飼い主さんは、病院やペットショップで相談してみましょう。
「あっという間にごはんを食べる=
量が足りない」ではない
ワンちゃんが出したごはんをあっという間に食べ終わっても、量が足りていないとは限りません。早食いは野生の名残、本能によるものです。もともと野生で生活していた犬にとって、食事はすぐに済ませる必要がありました。
しかし、早食いは喉に詰まらせる、胃がびっくりして吐き戻す、といった可能性もあります。早食い防止用の食器を使う、早食いしても胃に負担がかからないよう、ごはんを小分けにして与えるなど改善やリスク軽減に努めましょう。
ごはんの回数
食事の時間は、飼い主さんができる範囲で規則正しい時間にあげるのがベストです。ただし、時間を厳密に決めすぎてしまうと、その時間にごはんが出てこないことが逆にワンちゃんのストレスになってしまう可能性もあります。あげる時間はある程度の幅を持たせ「だいたいこの時間」としたほうが、お互いストレスないごはんになるでしょう。
あげるタイミングとしては、以下のような目安があります。
~3ヶ月 | 1日4回 (朝・昼・夕方・夜) |
---|---|
~6ヶ月 | 1日2~3回 (朝・昼・夜) |
6ヶ月~ | 1日1~2回 (朝・夜の2回が望ましい) |
子犬の頃はごはんの回数を多めにしてあげましょう。まだ胃が小さく消化機能も成長過程にあるので、一度にたくさんごはんを与えないようにします。
成犬になると、胃や消化機能がしっかりしてくるので回数を減らしても大丈夫です。ただし、先述のような早食いのワンちゃんは、早食いによる胃の負担の軽減のため回数は調節してあげてください。
ごはんの環境
食器は少し高い位置に置くと◎
食器を床に置くと、前のめりの姿勢でごはんを食べることになります。この姿勢は、関節や胃腸に負担がかかるつらい姿勢。特に、体重のある大型犬や足の長い犬種にとっては前足を痛めてしまうかもしれません。食の細いワンちゃんは、食べづらい姿勢だと、余計に食べなくなってしまう可能性も。
食器を台に乗せる、足の付いた食器を使うなどで高さを出しましょう。喉に詰まらせたり、吐き戻しの予防にもなります。
触ったり食器を動かしたりしない
個体差にもよりますが、「ごはんを取られてしまう」「私のごはんに手を出さないで!」と感じる可能性もあります。ゆっくり落ち着いてごはんを食べさせてあげましょう。
トイレの近くでごはんをあげない
ワンちゃんは食事する場所と排泄する場所を分ける習性があるので、トイレと決めた場所でも、そこでごはんをあげるともう排泄をしなくなってしまう可能性があります。ごはんをあげる場所は、決まっていなくても問題ありません。いろいろな場所で食べられるようにしておいたほうが、将来ペットホテルに預けたり、災害避難の際にも適用しやすい可能性もあります。
手作りごはん
飼い主さんの中には、ドッグフードではなく手作りのごはんを食べさせたい、と考えている方もいるのではないでしょうか。手作りのごはんは、飼い主さんが選んだ食材を食べさせられるだけでなく、愛犬の体質や体調、好みを考慮して用意できますが、その分手間がかかります。ワンちゃんに必要な栄養素や栄養バランスについての知識も必要になってくるので、毎食手作りにしたい場合はかかりつけの獣医師などに栄養のアドバイスをもらうとよいでしょう。
特別な日だけ手作りする、普段のフードに少しアレンジを加えてみるなど、総合栄養食タイプのドッグフードをベースに、無理のない範囲で手作りを取り入れるのもおすすめです。おやつを使った簡単アレンジレシピをご紹介してるので、ぜひチャレンジしてみてください。
手作りをする・しないに関わらず、ワンちゃんの食べてはいけない食材は、飼い主さんは必ず知っておきたいもの。愛犬を危険にさらさないよう、しっかり知識を身につけておきましょう。
絶対にNGな食材
チョコレート、カフェイン
レーズンやブドウ、魚介、ナッツ、アボカド
揚げ物などの高脂肪食品、アルコール、人工甘味料
注意が必要な食材
生卵、香辛料などの刺激物
煮干し、海苔
ワンちゃんの楽しみ「おやつ」
おやつは1日のエネルギーに含む
「おやつは別腹」はNG。食べすぎになってしまいます。おやつの量は、1日の必要エネルギーの20%に抑えることが望ましいとされています。あげたいおやつの分、ごはんの量を調整しましょう。
総合栄養食タイプのおやつも
おやつの中には、必要な栄養素が詰まった総合栄養食タイプもあります。ごはんをあまり食べない子や、シニアの子の栄養補助として活用するのもおすすめです。
獣医師さんに聞いてみた! ごはんのQ&A
ごはんは食べないのに、おやつばかり欲しがり食べてしまいます。
わがまま・おやつのあげすぎ・体調不良 のどれかです
飼い主さんがどれが原因かを見極めて、適切な対処をしましょう。家族がいる場合は協力してもらい、全員が一貫した対応をすることが大切です。
・わがままの場合ごはんを食べなければおやつがもらえる、と思わせないように。
フードをふやかして風味を強める、トッピングをしてみるなどで、まずはフードを食べてもらえるよう工夫してみましょう。
・おやつのあげすぎの場合おやつでおなかがいっぱいになっている可能性があります。おやつの量を見直してみましょう。また、ご褒美をおやつではなくドッグフードにしてみるのもあげすぎ防止につながります。
・体調不良の場合食事以外の普段の様子を観察してみてください。下痢をしている、震えているなどの異変がみられる場合は、かかりつけの動物病院へ。
子犬やシニア犬は、特に気をつけて様子を見てください。
人間の食べ物を欲しがります。
原則、人間の食べ物は与えない。
人間の食べ物は、ワンちゃんにとってNGの食材が使われている可能性もあり、摂取エネルギーの観点から見てもリスクが高いです。家族がいる場合は対応を統一し「お母さんはくれないけど、お父さんはもらえる」という状態を作らないようにしましょう。
欲しがっても無視して、我慢できたらフードを1粒与えるなどのご褒美を。次第にもらえないことが理解できるようになるでしょう。
防災対策として、ごはんはどのくらい備蓄しておくといい?
いつも食べているものを最低5日~1週間分ほど用意して。
ドライフードなど保存がきくごはんを、普段から少し多めにストックするようにしておくと、いざという時も安心です。
水は、ミネラルの過剰摂取にならないよう、軟水のミネラルウォーターを用意するとよいでしょう。
愛犬が健やかに生きていくために必要不可欠なごはん。
飼い主さんが食の知識を身につけて、
正しく楽しいごはんの時間を過ごせるようにしましょう。