特集/Pickup
愛犬と一緒に暮らし始めると、
“ニオイ”問題はどうしても
気になりがちですよね。
「ウチのコ、臭ってないかな?」
「わが家が臭っていたらどうしよう…」
今回はそんな愛犬やお部屋の臭いに対する、
ケアや対策方法をご紹介します。
監修
ぎふ動物行動クリニック
奥田順之獣医師ONELife/ぎふ動物行動クリニック
2012年、犬猫の殺処分問題解決を目的に、NPO法人人と動物の共生センター設立。
殺処分・飼育放棄問題の解決には、適正飼育の普及が必要不可欠との観点から、犬のしつけ教室ONELife/ぎふ動物行動クリニックを開設。2017年、全国で8人目となる、獣医行動診療科認定医取得。専門分野は、犬のしつけ、動物行動学、動物心理学、動物のストレス。
気になりがちな愛犬の臭いですが、
実は健康のバロメーターになることもあります。
急に臭いが強くなった、いつもと違う臭いがする、
といった場合は注意が必要です。
臭いに異変を感じたら、
動物病院で診察を受けましょう。
原 因
犬の皮膚には、われわれと同じように皮脂を分泌する皮脂腺があります。皮脂腺から分泌された皮脂が酸化し、雑菌と混ざると臭いの原因になります。
皮脂の分泌過剰は、脂漏症の原因の一つになります。体がべとついているのにフケが多くなり、体臭もきつくなります。脂漏症の原因はさまざまかつ複合的な要因があるため、動物病院での検査や治療が必要です。
対 策
●ブラッシング
ブラッシングには、ムダ毛やホコリを落とす効果があるので、お散歩や遊んだ後の習慣にしてみましょう。汚れ落とし効果のあるブラッシングスプレーを使うのもおすすめです。
上手なブラッシングのコツは 「愛犬の健康を保つブラッシングと爪切りのコツ」でもご紹介しています。
●シャンプー
臭うからといってシャンプーのしすぎは禁物。洗いすぎるとかえって皮膚トラブルの原因になるので、月1~2回程度が目安です。大切なのは生乾きにならないこと。ドライヤーを使うなど、しっかり乾かしてあげましょう。
原 因
耳は蒸れやすく雑菌が繁殖しやすいため、臭いの原因になりやすい場所です。特に耳が長い被毛で覆われていたり、垂れ耳のワンちゃんは要注意。
臭いが強くなったときは、外耳炎等のトラブルの可能性があるので、すぐに動物病院を受診しましょう。
外耳炎の原因は耳ダニ、細菌、マラセチア(酵母菌)などが考えられ、特に細菌や酵母菌は独特の臭いがします。
対 策
臭いをチェックし、気になるときは柔らかい布で軽く拭きましょう。しかし、自宅での耳掃除はリスクが高いので、おすすめできません。ワンちゃんが嫌がり急に動いて傷つける危険があります。
原 因
ワンちゃんの肛門には、左右に、縄張りに臭いを付けたり、個体の識別に使う分泌物を出す腺(肛門腺)があります。他のワンちゃんとの挨拶で、お尻の臭いを嗅ぐのはこのためです。
分泌物はウンチと一緒に排出されますが、リラックス、興奮、緊張したときなどに出てしまうこともあります。
対 策
子犬、シニア犬、そして小型犬は分泌物をうまく排出できないため、肛門腺を絞り、たまった分泌物を出してあげる必要があります。目安は月1回程度、自宅で難しければ動物病院で処置をしてもらいましょう。お願いできるトリミングサロンもありますので、事前に確認してみましょう。
分泌物がたまりすぎると、肛門腺が破裂することもあります。お尻を地面にこすって歩く行動がみられたら、溜まってきているサインなので、お手入れが必要です。
原 因
歯に付着した食べ物の残りカスや、口のまわりの毛に付いた食べこぼしやよだれが放置されると、口臭の原因になります。
対 策
少しずつでも、定期的な歯磨きを習慣づけましょう。今からでも始められる歯磨きのコツや方法は「おうちでできる! 愛犬の歯磨きケア方法」でもご紹介しています。
歯に付着したカス(歯垢)は、固まると歯石になり、やがて歯周病やその他の病気の原因になります。口臭が気になる状態は、かなり歯周病が進んでいる可能性があるので、すぐに動物病院へ。
ただ、一緒に生活している飼い主さんは口臭に慣れがちなので気づきにくいことも。愛犬の歯磨きケア方法の歯周病チェックリストも参考にしてみてください。
原 因
ウンチやオシッコの臭いの原因は、アンモニアや未消化の食べ物、腸の中の細菌によって生み出されるガスなどです。排せつは生理現象ですが、腸内環境が悪化すると臭いがきつくなる場合もあります。
対 策
腸内環境を保つには、おやつやフードをあげすぎていないか、運動不足などワンちゃんにとってストレスがないか、などがポイントになります。飼い主さんが勝手に判断せず、かかりつけの動物病院で相談するなど、適切に対応しましょう。
ポイントは、臭いを付着させないこと、
掃除をしやすい環境をつくることです。
●換気
特に、暑い日や寒い日、天気の悪い日などは窓を開けることもためらってしまいそうですが、空気がこもりがちになるので、しっかりと窓を開けて部屋の空気を入れ替えましょう。
臭いがちなトイレやケージ・サークルを、家の中で空気の通り道になるような風通しの良い場所に設置することもおすすめです。
●洗濯
洗えるものはこまめに、難しい場合でも定期的に洗濯をしましょう。定期的な洗濯が難しいものは、消臭剤や消臭スプレーを使う対策がおすすめです。
【布製品】
クッション、ソファやカーペット、カーテンなどの布製品は、
家の中にある中でも、特に臭いが付きやすい素材です。
【愛犬が使うもの】
クッションやベッド、毛布やおもちゃなど、ワンちゃんが愛
用しているものは、やはり臭いが付きやすいです。愛犬が長
く過ごす場所に置くものは、丸洗いできるようなものを選ぶ
とケアしやすくおすすめです。
【衣類】
臭いは部屋だけでなく、衣類にも付着します。コート類など、
洗う頻度の少ない秋冬用のアウターは特に注意。着る前、着
た後の臭いケア、抜け毛の除去を行いましょう。
●排せつ物
ワンちゃんのトイレ後は、早めに排せつ物を片付けましょう。失敗していなくても、臭いの成分は空気中に拡散されるので、早めのケアが大切です。
●香りで消そうとせず、根本的なケアを
いい香りのアロマグッズや柔軟剤などで、臭いをごまかそうとすると、混ざり合ってしまい、かえって不快な臭いになってしまいます。いい香りを使いたいときは、臭いケアを行ってからにする、愛犬が入ってこない部屋で使う、などの工夫をしましょう。
その際、アロマグッズなどはワンちゃんを飼っていても使えるものかどうかを確認してください。ただ、ワンちゃんがOKでも、他の動物にとって命に関わる場合もあります。他のペットと一緒に暮らしている場合は、十分に気を付けてください。
●臭・除菌アイテムはペット用を
臭いケアをするときのアイテムは、ペット用またはペットOKのものを使うようにしましょう。臭いケアの際にも、愛犬にとって安全なものを選んであげてくださいね。
ワンちゃんも生きているので、においがするのは当たり前のこと。
それを受け入れながらお互いが快適に暮らしていけるよう、
愛犬の健康やお部屋の環境づくりを意識できると良いですね。