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ここでは、子犬のシャンプーを始めるべき時期やその方法のほか、シャンプーの慣らし方やシャンプー選びの際に注意すべきポイントなどについて解説します。(最終更新日2023年12月4日)
目次
監修
静岡県島田市向谷3-918-9
TEL 0547-33-6010
北里大学獣医学部獣医学科卒業。専門学校ルネサンス・ペット・アカデミー非常勤講師、日本ペットマッサージ協会とペット薬膳国際協会の講師を務める。東日本大震災における被災動物レスキュー活動などにも参加。一般的な西洋医療のほか、鍼灸治療や漢方、ペットマッサージなどを通して動物の健康に取り組む。
【まずは動画で解説!】獣医が教える!子犬をシャンプーする方法
子犬のシャンプーはどのように行うのがよいのでしょうか。
手順や押さえておくべきポイントなどを動画にまとめましたので、まずはこちらをご覧ください。
そもそも、犬にシャンプーは必要?
特別な手入れをせずとも、毛並みが整っているように見える犬種も少なくありません。そもそも、犬にシャンプーは必要なのでしょうか。
犬は汗をほぼかかないが被毛は汚れるため、定期的なシャンプーが必要
犬は人間のように体に汗をかくことはほとんどなく、唯一汗ばむのは肉球だけです。汗をかかなければ被毛が汚れないのかというと、そんなことはありません。
毎日の散歩で外に出ると、どうしても土や砂ぼこりが体についてしまいます。また、室内にずっといたとしても、状況によってハウスダストや細かな汚れがついてしまうこともあります。場合によっては、ノミやダニが潜んでいるかもしれません。
あるいは、犬の皮脂は皮膚の表面を覆って潤いを保つ役目をするものですが、必要以上に皮脂が分泌されると、毛の根元に皮脂汚れが溜まってしまい、被毛全体がベタつくようになってしまいます。
そのほかにも、排泄物が被毛に付着してしまう、顔周りの被毛が長めの子であればフードや目やにが被毛についてしまうといったことから汚れが残ってしまいます。
シャンプーせずに放っておくとにおいも蓄積してしまう場合がある
シャンプーを怠ることで起こりうるトラブルとは?
犬のシャンプーをしないままでいると、具体的にはどのようなトラブルが起こりうるのでしょうか。代表的なものをいくつかご紹介します。
かゆみや皮膚病、体調不良の原因になってしまう
皮膚を清潔に保つことができず、古くて余分な皮脂や角質が残ってしまうとかゆみが生じます。さらに、そこから細菌が繁殖して皮膚病の原因ともなり、ノミやマダニが寄生してかゆみが生じ、そこから細菌増殖を起こしてしまうことにもつながりかねません。
アレルギー体質の子の場合は、アレルゲンが被毛や皮膚に残ったままになり、体調不良のもととなってしまうことも考えられます。
犬だけではなく、飼い主にまでトラブルが及ぶこともある
シャンプーを怠ることによる悪影響は、犬にとってばかりではありません。花粉のシーズンなどには、散歩で外に出た犬の体に花粉がつき、そのまま家の中に持ち込んでしまうこともあります。家の中に花粉症の人がいる場合、症状が悪化してしまうかもしれません。
やはり、犬にとっても人間の飼い主さんにとっても、適度なシャンプーは必要なものなのです。
子犬のシャンプーはいつから始めるのがよい?
生まれてすぐの子犬は免疫力が低く、体温調節も上手にはできません。そのような時期にシャンプーをしてしまうと、風邪や病気になってしまうこともあります。ですから、子犬を初めてお風呂に入れるタイミングとしては、生後2ヵ月頃に受けるワクチンから2週間程経過してからが良いとされています。
ただし、これはあくまでも目安であり、この時期の子犬は体力も十分ではありません。その子の体調や状態をよく見た上で、シャンプーをしてあげられるかどうか見極めてあげてください。
お風呂に慣れてきたら、シャンプーの頻度は月に1~2回で十分でしょう。
まだ、シャンプーをしてあげられない時期に、排泄物がお尻についてしまうなどして体や被毛が汚れてしまったら、ウェットティッシュや温かい濡れタオルなどで優しく拭き取ってあげます。どうしても汚れがきれいにならない場合は、お湯でお尻だけを洗うなどの対処をしてあげてください。
子犬のシャンプーのやり方
子犬をシャンプーする場合、どのように行えば良いのでしょうか。準備すべき物と併せて、子犬のシャンプーの方法をご説明します。
<シャンプーする際に必要な物>
・シャンプー
・リンス
・ブラシ
・洗面器や泡立てボールなど
・スポンジやガーゼ
・タオル
・ドライヤー
1. ブラッシングして準備する
シャンプーをする前に、子犬の体全体をブラッシングして準備しましょう。ブラシはスリッカーブラシ、ラバーブラシ、コーム、ピンブラシと種類がありますが、犬種や被毛の長さなどに合わせて選びます。
ブラッシングのコツは、体全体からほこりを落とすように行うことです。毛がもつれている箇所があれば優しくほぐしてあげてください。事前に毛をほぐしておくことで、濡れたときに毛が固まってしまうのを防ぐことができます。
2. シャワーで体を濡らす
ブラッシングが終わったら、シャワーで子犬の体を濡らします。子犬にとって最適なお湯の温度は37℃前後です。子犬は成犬よりも体温が高めではあるものの、お風呂の中は熱がこもりやすく、子犬は体温が上がりやすいため、のぼせてしまわないよう、人が少しぬるいと感じるくらいが適温となります。
いきなり顔や心臓の近くにシャワーのお湯をあててしまうと、子犬がびっくりしてしまいます。ですから、顔から遠いお尻や足元からそっとシャワーをかけて少しずつ濡らす箇所を移動していきましょう。このとき、シャワーヘッドを犬の体に密着させてかけてあげると、シャワーの音や水圧が小さくなりますのでおすすめです。
お湯をはじいて毛の根元まで濡れにくいときは、手のひらをくぼめてお湯を溜め、皮膚に直接流し込むようにして濡らします。皮膚がまんべんなく濡れることでこの後のシャンプーの泡立ちが良くなりますので、しっかりと濡らしてあげることが大切です。
3. スポンジやガーゼで顔を濡らす
顔周りが濡れるのを嫌がる子も少なくありません。そのため、顔周りを濡らすときは、目や鼻、耳にお湯が入らないよう、お湯を含ませたスポンジやガーゼで少しずつ濡らしてあげましょう。
目やになどが固まってついてしまっている場合は、この時点で少しずつでも濡らしてふやかしておきます。こうしておくことで、シャンプーをつけて洗うときに無理にこする必要がなくなります。
4. シャンプーで体を洗う
シャンプーを始める前には、シャンプー剤を原液のまま子犬の体につけるのではなく、あらかじめ泡立てておくのがポイントです。事前にシャンプー剤をしっかりきめ細かく泡立てることで、泡が汚れを吸着し、皮膚や被毛から浮き上がりやすくなります。
泡立てる際には、洗面器にシャンプー剤を入れ、お湯を少量加えて泡立てるのがおすすめです。泡立てボールを利用してもOKです。
シャンプーが十分に泡立ったら、いよいよ子犬の体にシャンプーをつけて洗っていきます。このとき、泡を背中、お尻、おなか、足、しっぽとつけて、爪を立てないよう指の腹を使って地肌をマッサージするように優しく洗うと良いでしょう。
5. 顔を上向きにして洗う
顔のほうにシャンプーやお湯が流れないよう、顔を上向きにして洗います。そして、最後に顔を洗いましょう。指でシャンプーの泡を取って、耳、頭、目鼻の周りの順に目や耳に泡が入らないよう、丁寧に洗います。
6. シャンプーを洗い流す
シャンプーを洗い流すときは、顔のほうから行います。顔、背中、胸、前足、おなか、お尻、後ろ足、しっぽの順にすすいでいきます。シャンプー剤が残ってしまうと皮膚のトラブルの原因となってしまうため、しっかりと洗い流してください。
7. リンスも同様に行う
リンスもシャンプーのように原液のままつけるのではなく、お湯に溶いてから使用します。適量を洗面器で溶き、頭以外の体全体にまんべんなくかけてあげましょう。シャンプーを洗い流すときと同じ要領で、しっかりとすすぎます。
8. タオルで水分を拭き取る
すすぎ終わったら、体や耳、足の水分を手で優しく絞ります。体は背中からおなかに向かって手でなでるように、水気を切ってあげましょう。また、耳や足、しっぽは、そっと握って上から下に向けて水分を絞るのがコツです。
ある程度水気が取れたら、大きめのタオルで体を覆い、軽く押すようにして水分を拭き取ります。水分が残りすぎているとドライヤーに時間がかかってしまうため、しっかりと拭き取ってあげることが大切です。
9. 毛を乾かす
ある程度体の水分を拭き取ることができたら、最後にドライヤーで乾かします。
このとき、ドライヤーを近づけすぎてしまうと、熱で皮膚を傷めてしまうため注意が必要です。そのため、ドライヤーは体から30cm程度離して、皮膚に直接風があたらないように注意しながら乾かします。
生乾きだとそこから体を冷やし、体調を崩してしまったり、細菌が繁殖して皮膚のトラブルの原因になってしまったりすることも考えられるため、手早くしっかり乾かしましょう。
特に、足先や肉球のあいだ、脇の下、耳の裏などは乾かし残してしまいがちです。手で確かめながら乾かしてあげてください。
シャンプーの頻度や、やり方は犬種によって違う?
健康な犬であれば、基本的にどの犬種でもシャンプーの頻度や、やり方は同じです。ただし、何か疾患を抱えている場合や、年をとって体力が衰えている老犬は別であるため、注意が必要です。
犬種別の特徴をあえて挙げるならば、長毛種は被毛に汚れがつきやすいといえます。ですから、月1回程度の定期的なシャンプーは必須です。
一方、短毛種で比較的体臭が少ない犬種であれば、濡れタオルでこまめに体を拭いてあげるだけでも、ある程度は被毛の清潔は保てるでしょう。とはいっても、やはり新陳代謝の良い子犬は、皮脂汚れや古い角質が溜まってくるので、やはり月1回程度の定期的なシャンプーが必要となります。
子犬のシャンプーの慣らし方
子犬は新しい環境にまだ慣れず、初めての出来事や音、変化に敏感なものです。そんな子犬にいきなりシャンプーをするのは避けましょう。
初めて聞くシャワーの音やお湯が体にかかることに、恐怖心を持ってしまいかねません。子犬の時期にシャワーやシャンプーすること自体に苦手意識を持ってしまうと、その後、大きくなってもシャンプーを嫌いになるばかりか、お風呂場に近づくことも嫌がるようになってしまうおそれがあります。子犬が怖がらないよう、段階的に水やシャンプー、お風呂に慣らしていくことが大切です。
ここでは、子犬のシャンプーの慣らし方を、順にご説明していきます。
1. お風呂場で子犬を遊ばせる
まずは、お風呂場で子犬を遊ばせてあげます。お風呂は遊び場だと子犬に認識させ、お風呂場は怖くない、安心な場所であるというイメージを刷り込ませます。
2. シャワーの音に慣れさせる
シャワーの音を少しずつ聞かせ、慣らしていきます。シャワーの音を聞かせた後に、ご褒美として子犬におやつをあげてもいいでしょう。
3. 体が濡れる感覚に慣らす
ぬるま湯をたっぷりと含ませたタオルで、子犬の体を拭くようにして洗ってみましょう。こうすることで、体が濡れても平気であるという感覚を覚えさせます。
4. 子犬の顔から遠いところから濡らしていきシャワーに慣らす
体が濡れる感覚にも慣れさせたら、いよいよシャワーで子犬の体を濡らします。子犬の顔から遠い後ろの足先やお尻から少しずつ濡らしていくことで、シャワーの感触に慣らします。
子犬のシャンプーを選ぶ際に注意すること
子犬のシャンプーを選ぶ際には、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。ここでは、特に注意すべき2つのポイントについてご説明します。
犬専用のシャンプーを選ぶ
シャンプーを選ぶ際には、必ず犬専用の商品を選びましょう。人間の皮膚と犬の皮膚とでは、まったく性質が異なります。犬の皮膚は人間の5分の1程の厚さしかなく、非常にデリケートです。
人間用のシャンプーで犬を洗ってしまう飼い主がいますが、絶対にやめてください。人の肌に合わせて作られたシャンプーは犬にとっては刺激が強すぎてしまうため、皮膚のトラブルの原因となりかねません。
自然由来の成分を主体とする低刺激性シャンプーを選ぶ
犬のシャンプーにもさまざまな種類があります。皮膚の刺激を抑えたいのであれば、自然由来の成分を主体とする低刺激性シャンプーがおすすめです。
特に、皮膚が弱い子や皮膚疾患を持っている子の場合は、飼い主さんが独自に判断せず、獣医師に相談した上で、最適なシャンプーを選んであげるようにしましょう。
ペティオおすすめの子犬用シャンプー関連商品
ペティオには子犬のシャンプーにぴったりの商品があります。今回はペティオが販売している犬用シャンプー関連商品からおすすめの3点をご紹介します。
おすすめ商品
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ペッツスマイルド 泡で洗うリンスインシャンプー しっとりつややか 全犬種用350mL「ペッツスマイルド 泡で洗うリンスインシャンプー しっとりつややか 全犬種用350mL」は、アミノ酸系洗浄成分配合の低刺激性のリンスインシャンプーです。
スプレー形状なので、泡立てる手間もなく、水に慣れない子犬にも手早くシャンプーをすることができます。
全身の使用はもちろん、手足だけをきれいにするのにも最適。
うるおい成分にセラミドとローヤルゼリーを配合しているため、被毛をふんわり仕上げることができます。 -
犬猫用 顔まわり用 シートでふきとる シャンプーティッシュ 30枚「犬猫用 顔まわり用 シートでふきとる シャンプーティッシュ 30枚」は、顔周りの汚れや気になる場所(目・耳・口まわり等)の汚れをサッと拭き取るだけでケアできるシャンプーティッシュです。
まだまだシャンプーに慣れない子犬にも使うことができます。
また、お出かけや災害時の携帯にも最適。
ペットに優しい無香料・ノンアルコール・パラベンフリーで、うるおい成分には桃の葉エキス・セラミドを配合。
子犬のシャンプーは徐々に慣れさせ、適切な手順に沿って行うことが大切
家族の一員となった子犬をすこやかに育てるためにも、楽しくシャンプーできるようになるのは大事なことです。そのためにはまず、体を濡らすことやシャンプーに慣れさせ、適切な手順に沿ってシャンプーを行うようにしましょう。また、シャンプーを選ぶ際には、必ず犬用の商品を買い、極力自然由来の成分からなる低刺激の商品を選ぶことが大切です。
子犬の体調や性格をよく観察しながら、シャンプーを徐々に習慣づけられるといいですね。
よくある質問
子犬のシャンプーQ&A
- 犬にシャンプーは必要?
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犬は人間のように体に汗をかくことはほとんどないものの、定期的なシャンプーが必要です。毎日の散歩で土や砂ぼこりが体についたり、シャンプーせずに放っておくとにおいも蓄積してしまう場合があります。見るからに汚れが目立ってきたときはもちろんのこと、被毛にふれてみてしっとりした感触になっていたときや体臭が気になったら、それはシャンプーが必要なサインです。
- 子犬のシャンプーはいつから始める?
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子犬を初めてお風呂に入れるタイミングとしては、生後2ヵ月頃に受けるワクチンから2週間程経過してからが良いとされています。ただし、これはあくまでも目安であり、この時期の子犬は体力も十分ではありません。その子の体調や状態をよく見た上で、シャンプーをしてあげられるかどうか見極めてあげてください。
- 子犬のシャンプーを選ぶ際に注意することは?
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シャンプーを選ぶ際には、必ず犬専用の商品を選びましょう。犬の皮膚は人間の5分の1程の厚さしかなく、非常にデリケートです。犬のシャンプーにもさまざまな種類がありますが、皮膚の刺激を抑えたいのであれば、自然由来の成分を主体とする低刺激性シャンプーがおすすめです。特に、皮膚が弱い子や皮膚疾患を持っている子の場合は、飼い主さんが独自に判断せず、獣医師に相談した上で、最適なシャンプーを選んであげるようにしましょう。