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ここでは、ワンちゃんへのブラッシングの効果・必要性や上手にする方法、嫌がるワンちゃんへの対処法などを解説します。(最終更新日:2024年6月7日)
目次
監修
静岡県島田市向谷3-918-9
北里大学獣医学部獣医学科卒業。専門学校ルネサンス・ペット・アカデミー非常勤講師、日本ペットマッサージ協会とペット薬膳国際協会の講師を務める。東日本大震災における被災動物レスキュー活動などにも参加。一般的な西洋医療のほか、鍼灸治療や漢方、ペットマッサージなどを通して動物の健康に取り組む。
ブラッシングの効果・必要性
ワンちゃんへのブラッシングの目的は、毛並みを整えてきれいに見せるだけではありません。まずは、ワンちゃんにブラッシングを行う効果や必要性について解説します。
被毛や皮膚を健康に保つ
ワンちゃんはお散歩中にホコリやゴミ、虫、土汚れなどを体につけて帰ってきます。そのままにしておくと、思わぬ皮膚トラブルを引き起こすことも。ブラッシングをすることで汚れや虫などを取り除き、皮膚を健康に保つことができます。
また、ブラッシングによって被毛を整えることで、抜け毛や絡まった毛が取り除かれ、新しい被毛の成長が促進されます。被毛をキレイに保つことで汚れも付きにくくなります。
マッサージ効果で血流促進が期待できる
ブラッシングによって皮膚が刺激されて血流が促進されることで、皮膚の新陳代謝が活発になり、ワンちゃんの健康維持につながります。
ワンちゃんとの信頼関係が高まる
ブラッシングは、ワンちゃんと飼い主さんのコミュニケーションを深める手段のひとつです。
ブラッシングによるスキンシップによって、ワンちゃんが「飼い主さんに身を任せると気持ち良い」「飼い主さんと過ごせて楽しい」と感じてくれれば、ワンちゃんとの信頼関係が築けるでしょう。
ワンちゃんが、ブラッシングで人に触られることに慣れ、人を信頼できるようになると、トリミングやペットホテルなどにも行きやすくなります。
トラブルを早期発見できる
ブラッシングは、ワンちゃんの体を間近で見たり触ったりしながら全身の状態を観察できるタイミングでもあります。
普段遊んでいるときには気づきにくいちょっとした皮膚の異常や、体調の変化などに気づけば、早期に対策ができるでしょう。
抜け毛を取り除ける
ダブルコートのワンちゃんは換毛期の時期に大量に毛が抜けます。
ブラッシングをすることで、抜け毛の除去とスムーズな換毛を促してあげましょう。また、しっかりとブラッシングをすることで、家具や衣類に付く抜け毛の量を減らす効果も期待できます。
ブラッシングの頻度
ワンちゃんのブラッシングは毎日行うのが理想的。少なくても週1回はしてあげましょう。
定期的にブラッシングをすることで、ワンちゃんが慣れてスムーズに行えるようになるほか、飼い主さんがうちの子のちょっとした違和感や体調の変化に気づきやすくなり、トラブルを未然に防ぐことにも繋がります。忙しい日は少しでもいいので、日々の習慣としてブラッシングを取り入れることをオススメします。
また、換毛期がある犬種は夏毛と冬毛が生え替わるため、春と秋の年2回大量に毛が抜けます。換毛期にはいつも以上にブラッシングをしてあげて、抜け毛の除去とスムーズな換毛を促してあげましょう。
換毛期があるのは「ダブルコート」といわれる犬種です。皮膚を保護する「オーバーコート(上毛)」と、体温を調節する「アンダーコート(下毛)」の2種類があり、換毛期にはアンダーコートが生え替わり体温調節します。
<ダブルコートの犬種例>
・柴犬
・秋田犬
・チワワ
・ラブラドール・レトリーバー
・ゴールデン・レトリーバー
・シベリアンハスキー
・ポメラニアン
・コーギー
・フレンチ・ブルドッグ
なお、オーバーコートしかない「シングルコート」といわれる犬種には換毛期がないため、ダブルコートのワンちゃんに比べると抜け毛が少なめです。
<シングルコートの犬種例>
・プードル
・マルチーズ
・イタリアン・グレーハウンド
・シーズー
・ヨークシャー・テリア
ブラシの種類
ワンちゃんのブラッシングには、犬種とブラッシングの目的に合ったブラシを選ぶことが大切です。ここからは、代表的なワンちゃん用のブラシの種類を紹介します。
ブラシの種類 | ブラシの特徴・用途 | ブラシに適した犬種例 |
---|---|---|
スリッカーブラシ | 「くの字」に曲がった細いピンがついたブラシ。抜け毛の除去やもつれ毛・毛玉をときほぐすのにオススメ。 | 柴犬、コーギーなど |
ピンブラシ | 人間のブラシに似た形状のブラシ。やわらかい被毛を無理なくとかしながらやさしくマッサージできます。 | トイプードル、ポメラニアンなど |
ラバーブラシ | シリコンやゴムでできたやわらかいブラシ。やさしくなでることで、マッサージしながら簡単に抜け毛を絡め取れます。 | ラブラドール・レトリーバー、フレンチ・ブルドッグなど |
獣毛ブラシ | 豚や馬などの毛を使って作られたブラシ。ブラッシングの仕上がりに使うとツヤが出る。 | フレンチ・ブルドッグ、ビーグルなど |
スリッカーブラシ
「くの字」に曲がった細いピンがついたブラシ。抜け毛の除去やもつれ毛・毛玉をときほぐすのにオススメです。被毛の奥まで入り込み、しっかり汚れ等をかき出せます。
被毛の長さに応じてハードタイプとソフトタイプを選べ、様々な犬種に使用できます。
<スリッカーブラシが適した犬種例>
・柴犬
・コーギー
・ロングコートチワワ
・ゴールデン・レトリーバー
ピンブラシ
人間のブラシに似た形状で、やわらかい被毛を無理なくとかしながらやさしくマッサージできます。
肌を刺激することで血行が良くなり、肌のハリと美しい毛並みを保ちます。
<ピンブラシが適した犬種例>
・トイプードル
・ポメラニアン
・ミニチュア・シュナウザー
ラバーブラシ
シリコンやゴムでできたやわらかいブラシ。やさしくなでることで、マッサージしながら簡単に抜け毛を絡め取れます。
ブラッシングを嫌がる子でも、ラバーブラシでやさしくなでるだけなら、身を任してくれるかもしれません。
毎日のブラッシングの他にも、シャンプーブラシとしてもお使いただけます。
<ラバーブラシが適した犬種例>
・ラブラドール・レトリーバー
・フレンチ・ブルドッグ
・ビーグル
獣毛ブラシ
豚や馬などの毛を使ったブラシ。静電気が起こりにくいのが特長で、ブラッシングの仕上げとして使うとツヤが出ます。
<獣毛ブラシが適した犬種例>
・フレンチ・ブルドッグ
・ビーグル
・ダックスフント
・パグ
ブラッシングの方法
1.ワンちゃんがリラックスできる場所を準備する
ワンちゃんがリラックスして飼い主さんもブラッシングしやすい体勢で行うようにしましょう。
じっとしてられない子は、散歩用のリードを繋いだり、安全な台やテーブル・飼い主さんの膝の上に乗せたりして、落ち着いたタイミングで始めましょう。
2.ブラッシング前に毛玉をほぐす
ブラッシング中にもつれ毛や毛玉にブラシが引っかかると、ワンちゃんに痛い思いをさせていまいます。
まずは、もつれ毛や毛玉がないか確認し、もつれがあればスリッカーブラシ等でほぐしましょう。
毛玉ができやすいのは、耳の後ろや脇、足やしっぽの付け根、足先です。最初は毛並みに沿って表面をなで、ひっかかりが消えたら少し深いところを優しくなでるようにすると、もつれた部分が無くなってスムーズにブラッシングが行えます。
3.嫌がらない場所からゆっくりブラッシングする
毛玉がほぐれたら、いよいよ本格的なブラッシングを行います。まずは、ワンちゃんが触られても嫌がらない場所から始めていきましょう。
背中→腰→脇腹→首→胸→お腹→頭→足元の順にブラッシングするとスムーズに行えます。顔回りは嫌がる子が多いので、無理せず、目から鼻先に向かってブラッシングしてあげてください。また、胸元からお腹は乳首があるので、なるべく地肌に触れないようにしましょう。
前足・後ろ足は一番汚れやすいので、念入りにチェックしてあげてください。
4.仕上げはコームで整える
最後に、全体の状態を確認しながらコームで根元からとかして、毛並みを整えます。スリッカーブラシ等と同じように毛並みに沿って整えましょう。
この時、もつれ毛や毛玉を見つけたら指やスリッカーブラシ等でときほぐしてあげましょう、顔回りは慎重に行い、目にコームが当たらないよう注意してください。
ブラッシングのポイント
無理のない痛くない力加減で行う
痛い思いをすると、ワンちゃんがブラッシングを嫌になってしまうだけでなく皮膚を傷つけてしまう可能性があります。スリッカーブラシを自分の腕の内側など、皮膚の薄いところに当てて痛くない程度の強さの感覚をつかみましょう。
スリッカーブラシは指2,3本で支えるくらいの力で持つのがコツです。
短時間でスムーズに終わらせる
ブラッシングは10分程度、長くても20分までには終わらせるようにしましょう。
長時間ブラッシングしているとワンちゃんが飽きるだけでなく、自由を奪われていると感じてしまい、ブラッシングが嫌になることも。
ワンちゃんに落ち着きがないときは、尻尾の付け根やおなか、耳の後ろなど、汚れが付きやすい場所や毛玉が目立つ場所のブラッシングを優先して、早めに終わらせることを心がけましょう。
ブラッシングが終わったらたくさんほめてあげる
ブラッシングを終えた後は、がんばったことをよく褒めて、おやつなどのご褒美をあげましょう。ブラッシングをすると良いことがあるとワンちゃんが感じてくれれば、次からも嫌がらずに、喜んでブラッシングをさせてくれるようになります。
ワンちゃんがブラッシングを嫌がる理由と対処法
体に触られることに慣れていない
ワンちゃんが体を触られることに慣れていないと、ブラッシングも嫌がります。
その場合は、無理にブラッシングをするのではなく、まずはワンちゃんが触られて気持ち良いと感じる首回りや前胸などをなでることから始めましょう。触れ合う時間を増やしていくと、ワンちゃんも触られることに抵抗がなくなり、ブラッシングも受け入れやすくなります。
ブラシを警戒している
始めてブラッシングをするときや、新しいブラシを使う時は、見たことのないブラシを警戒している場合もあります。
いきなりブラッシングをするのではなく、まずはブラシに慣れさせましょう。普段からワンちゃんの近くにブラシを置いておいたり、ブラシを見せながらおやつをあげたり、ブラシで少しだけタッチしてからおやつをあげたりすることで、ブラシに対する警戒感を解いてあげましょう。
ブラッシングで痛い思いをしたことがある
ワンちゃんが過去のブラッシングで痛い思いや不快な思いをしたことがあると、ブラシの存在自体を嫌がってしまうことがあります。
こうした場合、無理にブラッシングをするのは逆効果です。手でなでて、毛をとかすことから始めましょう。また、過去に嫌な思いをしたブラシとは別のブラシを使うことでワンちゃんの目先が変わり、ブラッシングを受け入れてくれる場合もあります。
ワンちゃんのブラッシングにオススメ商品
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よくある質問
犬のブラッシングQ&A
- ワンちゃんへのブラッシングの効果は?
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被毛・皮膚の健康をも保つほか、血行促進や抜け毛除去、コミュニケーションの深化などの効果があります。
- ワンちゃんへのブラッシングの頻度は?
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毎日行うのが理想です。最低でも週に1度は時間を取ってブラッシングをしましょう。時間がないときは短時間でもいいので、ポイントを押さえて習慣づけることが大切です。
- ワンちゃんへのブラッシングの方法は?
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ワンちゃんがリラックスできる場所を選び、毛玉をほぐして引っかかりをなくしてからゆっくり全体をブラッシングしていきます。仕上げはコームで全体を整えましょう。