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ここでは、大切なワンちゃんを暑さから守るための対策について、「おうち」と「おそと」に分けて解説します。オススメの熱中症対策アイテムに加えて、暑い時期に気になる害虫対策やサマーカットについても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。(最終更新日2024年8月16日)
目次
監修
静岡県島田市向谷3-918-9
北里大学獣医学部獣医学科卒業。専門学校ルネサンス・ペット・アカデミー非常勤講師、日本ペットマッサージ協会とペット薬膳国際協会の講師を務める。東日本大震災における被災動物レスキュー活動などにも参加。一般的な西洋医療のほか、鍼灸治療や漢方、ペットマッサージなどを通して動物の健康に取り組む。
ワンちゃんにとって暑さ対策は必須
暑い日も寒い日も元気に駆け回っているイメージがあるワンちゃんですが、実は人間よりも暑さに弱く、熱中症になりやすいといわれています。ワンちゃんの体温は人間よりも高い上に、足の裏など、ごく一部にしか汗腺がないため、人間のように汗をかいて体温を調節することができません。
ワンちゃんが口を開けてハッハッと息をしていたら、呼吸で体温を下げようとしているサインです。熱中症や夏バテになる前に環境を整え、ケアしてあげましょう。
ワンちゃんの熱中症の症状と対処法
体温調節がうまくいかず、体に熱がこもってしまう熱中症は、重症化すると痙攣・意識障害を引き起こし、命を脅かします。
ここでは、熱中症の初期症状と対処法をご紹介します。
ワンちゃんの熱中症が疑われる初期症状
ワンちゃんに下記のような症状が見られたら、熱中症を疑ってすみやかに対処しましょう。
なお、夏の暑い時期だけではなく、春先でまだ暑さに体が慣れていない時期も熱中症になる可能性があるので注意が必要です。
<ワンちゃんの熱中症の初期症状>
・普段よりも呼吸が浅く、速い
・足元がふらついてうまく歩けない
・体の表面が熱い
・舌や口の中が赤い
・目が充血している
・呼びかけに対する反応が鈍い
熱中症が疑われるときの対処法
熱中症が疑われる場合、応急処置が必要です。症状に気づいたら、すみやかに対応してください。
<ワンちゃんが熱中症の疑いがあるときの応急処置>
・涼しい場所に移動させる
・濡れタオルで全身を拭いて体を冷やす
・保冷剤や氷を使い、脇の下や足の付け根、首筋など太い血管が通っている部分を冷やす
・飲めそうであれば少しずつ水分を補給させる
対処法に不安があるときは、かかりつけの動物病院に電話して指示を仰ぎましょう。
全身に力が入らずぐったりしている、意識がない、痙攣しているといった場合は、すぐに動物病院を受診してください。
特に暑さ対策が必要なワンちゃんは?
どのワンちゃんにも暑さ対策は必要ですが、特に注意が必要なワンちゃんもいます。詳しく下記でご紹介します。
短頭種のワンちゃん
短頭種とは、フレンチ・ブルドッグやチワワなど、鼻から口の周りにかけての長さ(マズル)が短い犬種、通称「鼻ぺちゃ」と呼ばれる犬種のことです。マズルが短いワンちゃんは気道が狭く、長時間パンティングすると呼吸器に負担がかかってしまうため、特に注意が必要です。
寒い地域原産のワンちゃん
シベリアンハスキーや秋田犬といった寒い地域原産のワンちゃんは、厚い被毛に覆われ、寒さに強い分、暑さには弱い傾向があります。
ゴールデンレトリーバーやポメラニアンなど、ダブルコートの犬種も同様です。
肥満体型のワンちゃん
標準よりも体重が重く、肥満体型のワンちゃんも暑さが苦手といえます。
皮下脂肪があると熱が逃げづらくなり、体重過多によってエネルギーが多く燃焼されるため、発熱量が増えることが原因です。
愛犬がぽっちゃりとしている場合は、暑さに弱く、熱中症リスクが高いことを認識しておきましょう。
子犬やシニア犬
まだ成長過程にある子犬や、体温調節機能が衰え始めたシニア犬は、暑さにも寒さにも弱い傾向があります。
特にシニア犬は「暑い、寒い」といった温度を感じる温覚や冷覚も衰えるため、飼い主さんが先回りして環境を整えてあげることが大切です。
ワンちゃんの暑さ対策【おうち編】
ワンちゃんはおうちの中にいても、熱中症になってしまうことがあります。
特に、飼い主さんの目が行き届きにくい留守番中は、熱中症にならないよう環境を整えてあげる必要があります。
ここでは、ワンちゃんのためにできるおうちでの暑さ対策をご紹介します。
留守番中はエアコンをつけ、部屋を適温に保つ
蒸し暑い時期、特に夏場にワンちゃんにお留守番をしてもらう場合は、必ずエアコンを使って室温を調整してあげましょう。
ワンちゃんにとって快適に過ごせる室温は25-26℃、湿度は60%以下が目安といわれています。
また、エアコンの風がワンちゃんに直接当たらないよう工夫も必要です。
冷気は低い位置に溜まってしまうため、サーキュレーターなどを上手に使って、空気の流れを作ってあげることもオススメします。
ひんやりアイテムを活用する
接触冷感生地のベッドやおもちゃ、アルミマット、水に濡らして使うポンチョなど、さまざまな種類のひんやりアイテムがあります。サークル内やワンちゃんがよくいる場所にひんやりベッドやアルミマットを置くなど、ひんやりアイテムを上手に活用して、ワンちゃんの暑さ対策をしてあげましょう。
十分な飲み水を用意しておく
暑い日の留守番では、いつも以上にたっぷりと飲み水を用意しておきましょう。
こまめに水分補給をすることで、脱水症状を予防できるだけでなく、口の中が冷えて体温を下げることにもつながります。
水入れをひっくり返すことや、水を飲み切ることを想定し、安定的に水分を補給できるウォーターボトルなどを複数個用意しておくと安心です。
水を飲むのが苦手なワンちゃんの場合は、おやつにゼリーやペーストをあげる、フードをウェットフードにするなどして、食べ物から水分補給ができるような工夫をしてあげましょう。
被毛をカットして熱を逃がす
被毛が長いワンちゃんや毛量が多いワンちゃんは、被毛を短めに刈って調整すると涼しく過ごせます。
ただし、被毛を短くしすぎると皮膚が害虫や紫外線などの影響を受けやすくなり、トラブルに発展する可能性があります。
被毛をカットする場合は、皮膚が隠れる程度の長さと量は保つようにしてください。
短毛種のワンちゃんやカットが難しいワンちゃんは、こまめにブラッシングをして抜け毛を取り除きましょう。アンダーコートや抜け毛を取り除くことができ、風通しが良くなって熱を逃がしやすくなります。
おうちでの暑さ対策にオススメのアイテム
ワンちゃんの暑さ対策【おそと編】
ワンちゃんの心身の健康維持や飼い主さんとの信頼関係構築に欠かせないのが、お散歩やお出掛けでしょう。しかし、暑い時期の外出には注意が必要です。ここでは、おそとでの暑さ対策についてご紹介します。
散歩する時間帯に配慮する
暑い時期は、散歩をする時間帯の見極めが肝心です。
ワンちゃんは人間よりも地面に近い位置にいるので、地面からの照り返しの熱と直射日光の影響を人間よりも受けやすく、熱中症の危険性が高まります。また、太陽で熱せられたアスファルトは夏場では 60℃以上にまで上がることもあり、直に歩くと肉球がやけどしてしまう危険もあります。
そのため、散歩に出かけるのは気温が上がる前の早朝か、暑さが和らぐ夕方以降にしましょう。夏場、日中に外出される際は、必ず飼い主さんが地面を触って温度を確認してから、ワンちゃんを地面に下ろしてください。
水分補給をこまめに行う
こまめな水分補給は、ワンちゃんの熱中症対策の基本です。
おそとに行くときは新鮮な水を携帯し、いつでも飲ませられるようにすることはもちろん、水分補給ができるゼリーなどのおやつも活用して、脱水症状にならないようにしてあげてください。
首元を冷やす
人間と同じように、ワンちゃんの首元にも太い血管が通っています。
そのため、首元を冷やすことは、ワンちゃんの暑さ対策に有効です。保冷剤と一緒に使えるひんやりポンチョや、ネッククーラーなどを活用すると、快適に過ごすことができます。
車でのお出掛け時にも必ず暑さ対策をする
車でお出掛けをする際も、おうちで過ごすときと同様の暑さ対策が必要です。
炎天下に駐車していた場合は、車に乗る前にエアコンで車内温度を調整し、快適な温度に保ってください。
運転中も必ずエアコンをかけ、風が届く場所にケージを設置します。
ワンちゃんがキャリーに入っている場合は、キャリーの中にひんやりアイテムを入れておくのも有効です。
また、窓から差し込む直射日光がワンちゃんにあたらないよう、フィルムやサンシェードも活用することもオススメ。
なお、ワンちゃんを車の中に置いたままにするのは絶対にやめてください。車に置き去りにせず、お出掛け先には必ず一緒に連れていきましょう。
あまりに暑い日は無理に出掛けない
ワンちゃんの体調を考えて、暑い日は無理にお散歩・お出掛けしないほうがいいでしょう。代わりにおうちでたくさん遊んであげて、ワンちゃんとコミュニケーションを取ってあげてください。
おそとでの暑さ対策にオススメのアイテム
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お散歩用ひんやりポンチョ水に濡らして使うほか、保冷剤を入れることでひんやり感を調整できるポンチョ。リードの通し穴があるから、お散歩にもピッタリ。
反射材付きで暗い時間のお散歩も安心。 -
ポータブルウォーターボトル リーフお出掛け中の水分補給にオススメなシリコン製給水器。
ストラップ・カナビラ付きだから持ち運びにも便利。市販のペットボトルにも対応しているので、いつでもどこでも新鮮なお水をあげられます。お散歩中のトイレの後処理にもオススメです。
夏の暑い時期は、害虫対策も肝心
暑くて湿気の多い夏は、ノミやダニといった害虫が活発になるため、注意が必要です。散歩中、公園や草むらで、ノミやダニがワンちゃんにつくことがあります。
お散歩から帰ってきたらブラッシングなどで、体に害虫がついていないか、チェックしてあげてください。
ワンちゃんに害虫がついたまま室内に運ばれると、そのままおうちの中で繁殖することもあります。人に悪影響を及ぼす害虫もいるため、普段から虫よけスプレーやブラッシングで対策をし、ワンちゃんにつかせない・部屋に入れない工夫が大切です。
もし、ワンちゃんに害虫がついてしまったら動物病院で駆除してもらいましょう。
害虫対策にオススメのアイテム
ワンちゃんの暑さ対策に、サマーカットは有効?
サマーカットはワンちゃんが快適に過ごすための方法の1つですが、注意点もいくつかあります。
ワンちゃんの特徴に合わせて、慎重に検討しましょう。
<ワンちゃんのサマーカットの注意点>
・紫外線のダメージを受けやすくなり、皮膚トラブルが起きることがある
・被毛の質が変わったり、生えてこなくなったりする可能性がある
・害虫が入り込みやすくなる
全身カットではなく、肉球周りやおなか周りの被毛をカットするだけでも、ワンちゃんの体感温度を下げることができます。
まずはご自宅で、肉球周りやおなか周りのカットから始めてみても良いかもしれません。
夏のセルフカットにオススメのアイテム
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Self Trimmer(セルフトリマー)シリーズサマーカットや肉球周りなど気になる箇所に合わせて種類が選べるバリカンや、抜け毛を取り除くのにピッタリなブラシをラインアップ。暑い時期のケアにぜひお試しください。
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Portaブラシワンちゃん専用のブラシシリーズ。定番のスリッカーブラシやピンブラシのほか、ラバーブラシなどをラインナップ。用途やワンちゃんの大きさによって選べます。
サマーカット前に被毛をときほぐす際にもオススメです。
暑さ対策を万全にして、ワンちゃんとの毎日を楽しもう
高温多湿の夏は、体温のコントロールが苦手なワンちゃんにとって過ごしにくい時期です。
室内の温度や外出する時間に気を配り、ワンちゃんの熱中症を予防してください。
暑さ対策にオススメのアイテムも活用して、快適に夏を乗り切りましょう。
よくある質問
ワンちゃんの暑さ対策Q&A
- 夏場のワンちゃんに暑さ対策は必要?
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ワンちゃんは汗をかきにくく、体温調節が苦手な動物です。体に熱がこもりやすく熱中症の危険が高いため、夏はもちろん、春先の気温や湿度が上がってくる時期から暑さ対策が求められます。
- ワンちゃんに留守番をしてもらう際の暑さ対策は?
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ワンちゃんが快適に過ごせるよう、おうちではエアコンを使って、室温は25-26℃に保ちまましょう。接触冷感生地を使ったベッドやアルミシートなどのひんやりアイテムを併用するのもオススメです。
- ワンちゃんとお出掛けをする際の暑さ対策は?
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お出掛けは暑い日中は避けて、早朝や夕方など、比較的涼しい時間帯を選び、こまめな水分補給を心掛けてください。また、肉球がやけどをする恐れがあるため、おそとに出る際は地面の温度を確かめてからにしましょう。
車でのお出掛けの際も車内での熱中症に気を付け、絶対にワンちゃんを車内に置いていかないようにしてください。