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この記事では、ワンちゃんの体型の基準や、ダイエットに役立つ食事や運動のポイントについて解説します。さらに、ダイエットに役立つオススメのアイテムもご紹介しますので、ぜひご参考にしてください。(最終更新日2024年10月30日)
目次
ワンちゃんに肥満は大敵!標準体型を目指して楽しくダイエットを取り入れよう
人間と同じように、ワンちゃんにとっても肥満は万病の元です。肥満になると、関節に負担がかかったり、臓器の機能を低下させたりと、体へのさまざまな悪影響が考えられます。そのため、飼い主さんは愛犬が肥満にならないように生活習慣を整えてあげる必要があります。もし、生活習慣に問題があれば、速やかに改善していきましょう。
愛犬にダイエットが必要かを見極める方法
ワンちゃんは犬種によって体格がさまざまで、個体差が大きいのが特徴です。
そのため、愛犬が肥満かどうか、ダイエットが必要かどうかは、獣医師に判断してもらうとよいでしょう。
愛犬の体重は健康のバロメーターとして、定期的にチェックすることをオススメします。動物病院やトリミングサロンで動物専用の測定器で量ってもらうほか、自宅で量ることも可能です。
自宅で計測する場合は、飼い主さんが愛犬を抱っこして体重計に乗り、表示された体重から飼い主さんの体重を引きます。短期間で急に増えたり減ったりしていないか確認し、健康管理に役立てましょう。
体重のほかにも、ワンちゃんの体型や筋肉量の指標からワンちゃんの肥満度を確認する「ボディコンディションスコア」や「マッスルコンディションスコア」があります。愛犬の体型はどこに当てはまるのか調べてみましょう。
ボディコンディションスコア(BCS)
ボディコンディションスコア(BCS)とは、見た目と触ったときの状態から、ワンちゃんの体型を評価する指標です。過度に太ったり、やせたりしていなければ、成長(体重増加)が止まる生後12ヵ月頃の体重がその子の理想体型・適正体重と考えられます。下記の表でいうと、BCS3の体型が理想体型です。
■犬のボディコンディションスコア
※出典 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~」
マッスルコンディションスコア(MCS)
マッスルコンディションスコア(MCS)とは、獣獣医による目視検査と頭部、肩甲骨、背骨、腰椎などの触診で筋肉量を評価する指標です。
ワンちゃんの正常な体型を知る材料の1つといわれています。体重およびボディコンディションスコア(BCS)と併用することで、身体組成・筋肉脂肪比・栄養状態を把握するのに役立ちます。
■犬のマッスルコンディションスコア(MCS)
これらの指標を参考に愛犬の肥満度について獣医師に判断を仰ぎ、健康管理に役立ててください。
ワンちゃんが肥満になる原因
犬種や年齢、個体差によって違いはあるものの、ワンちゃんそれぞれが1日に必要なカロリー量は決まっています。その適正カロリーを超えるごはんやおやつを与え続けると肥満につながります。
そのため、飼い主さんが愛犬の適正カロリーを把握し、コントロールすることが大切です。
ワンちゃんが肥満になる原因は、下記のとおりです。
遺伝的に太りやすい犬種
ミニチュア・ダックスフンド、ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、シーズー、ポメラニアン、パグなどは比較的太りやすい犬種といわれています。愛犬がこれらの犬種の場合は、特に太らないよう注意してあげて下さい。
適正カロリー以上のごはんやおやつのあげすぎ
ワンちゃんには、犬種や年齢、個体差などで違いはあるものの、1日に必要とする総カロリー量が決まっています。飼い主さんが愛犬に適正カロリー以上のごはんやおやつをあげすぎるとカロリーオーバーになり、肥満につながります。1日の適正カロリーを把握した上でごはんやおやつを与えるようにしましょう。
たとえ、ごはんやおやつは適正量だったとしても、人間の食べ物を家族の誰かがつい与えてしまっていたり、多頭飼いで別のワンちゃんのごはんを食べていたりして、結局食べすぎの状態に陥っているケースも少なくありません。
運動不足
現代のワンちゃんは室内飼いがほとんどのため、必然的に運動不足のワンちゃんが増えています。また、忙しい飼い主さんの場合、散歩の時間が短いなどの理由から、ワンちゃんの運動量が少なくなりがちです。慢性的な運動不足が続けば、肥満を招く要因になります。
毎日の散歩を日課にし、十分な運動量を確保してあげてください。雨などで散歩できない場合は、室内での遊びを通じて運動量の確保を心掛けるといいでしょう。
避妊・去勢手術の影響
ワンちゃんは避妊手術や去勢手術をすると、ホルモンバランスが乱れて肥満になることがあります。女の子の場合は、食欲抑制ホルモンであるエストロゲンが減って食欲が増進することが原因です。男の子の場合は、男性ホルモンの分泌が抑制されて脂肪がつきやすくなります。
そのため、術前と同じ量のごはんやおやつを与えていると太ってしまうことがあるので、手術の後は特に注意が必要です。飼い主さんがきちんと食事管理をしてあげましょう。
多頭飼いの影響
複数のワンちゃんが一緒に暮らしていると、自分の食事を他の子に奪われないように急いで食べるワンちゃんや、必要以上にキープして後で食べるワンちゃん、さらには他の子が残したごはんを食べてしまうワンちゃんがいます。
いずれも肥満につながる可能性があるため、ワンちゃんそれぞれが安心して食事ができるような環境を整え、見守ってあげましょう。必要であれば、食事の際にワンちゃん同士の距離を取る、部屋を分けるといった工夫もオススメです。
加齢の影響
ワンちゃんは、年を重ねるにつれ筋肉量が減り、基礎代謝が低下します。併せて運動量も落ちるため、若い頃と同じ量の食事を続けると太ってしまうことも。年齢や運動量に合わせた食事量への調整や、シニア向けフードへの切り替えを検討しても良いかもしれません。
肥満が原因となる主な病気
ワンちゃんの肥満は、心機能障害や糖尿病、肝障害など、さまざまな病気の原因になります。
そのため、すでに肥満のワンちゃんは1日でも早くダイエットに取り組み、適正体重を目指すことが大切です。適正体重のワンちゃんは引き続き、その状態を維持しましょう。肥満によって引き起こされるワンちゃんの主な病気は、下記のとおりです。
<肥満が原因でかかる主な犬の病気>
ワンちゃんのダイエットは適切な食事と運動が基本
愛犬を健康的にダイエットさせるには、食事管理と運動の両方を取り入れることが基本といえます。
まずは愛犬に必要な1日の総カロリー量を知り、適した食事管理と運動を並行して取り入れていきましょう。その際、飼い主さんが主体性を持って取り組むことが不可欠ですが、自己流ダイエットは厳禁です。獣医師に相談し、長期的な計画を立てた上で、無理なく適正体重を目指してください。また、定期的に獣医師に経過を報告し、その都度、適切な助言をもらうことをおすすめします。
ワンちゃんのダイエット【食事編】
ワンちゃんに必要な適正カロリー量は、犬種・年齢・個体差などで異なるため、獣医師に相談するのがおすすめです。
愛犬の1日に必要な適正カロリー量を把握したら、カロリーオーバーにならないよう食事を管理しましょう。ドッグフードやおやつには、カロリーや給与量が記載されているので、目安にしつつ与える量を調整します。ダイエットだからといって過度に食事量を制限するとワンちゃんにとってストレスになるので、注意が必要です。
ワンちゃんに必要な1日のカロリーがわかる簡単な計算方法は、下記のとおりです。
ワンちゃんに必要な1日のカロリーの計算方法
ワンちゃんに必要な1日のカロリーの目安について簡単な計算方法をご紹介します。まず、ワンちゃんに必要な1日のカロリー量を計算し、ワンちゃんそれぞれの個体の係数をかけてください。
<個体ごとの係数>
生後4か月まで | 3 |
生後1歳まで | 2 |
避妊・去勢済み | 1.6 |
未避妊・未去勢 | 1.8 |
肥満 | 1.2 |
ダイエット | 1.0 |
例)現在体重が5kgで、避妊・去勢済みのワンちゃんの場合
5×30+70=220×1.6=352kcal
ただし、個体差があるため参考値とし、詳しくは獣医師に相談してください。
ワンちゃんの食事の改善方法について、主食のごはんと、間食のおやつに分けて下記でまとめたので、参考にしてください。
ごはんの改善方法
ワンちゃんのダイエットでごはんを改善する場合、大きく2つの方法があります。ダイエットフードに切り替えるか、量を減らすかのいずれかです。
低脂質や低カロリーのダイエットフードは、満足感を得ながらストレスなく体重を落とすことができます。いきなりダイエットフードに切り替えると、食いつきが悪くなったり、便がゆるくなったりすることがあります。そのため、元々あげているフードにダイエットフードを混ぜて与え、徐々にダイエットフードの割合を増やしていき、様子を見ながら1週間程度で完全に切り替えるようにしましょう。
フードの切り替えが難しい場合は、いつも食べているごはんの量を少し減らし、水やウェットタイプのフードやおやつでかさ増しするのもオススメです。また、1回に与える量を減らし、回数を増やすという方法もあります。
多頭飼いの場合は、食事の場所を分け、落ち着いて食べられる環境を用意してあげるのも良いかもしれません。
おやつの改善方法
総合栄養食のごはんを食べていれば、栄養面では本来おやつは必要ありません。
ワンちゃんにおやつをあげる場合は、1日に必要なカロリーの10%以内が目安です。カロリーオーバーにならないよう、食べたおやつのカロリーをごはんから差し引いてから与えてください。
おやつの早食いや丸飲みも肥満につながります。おやつをそのままあげるのではなく、飼い主さんの手から少しずつあげる方法があります。飼い主さんからもらうことで、少量でもワンちゃんの満足度が上がり、
コミュニケーションも深まります。嗅覚などを使って遊ぶ知育おもちゃを活用するのも良いかもしれません。
また、ダイエット中は食事制限のストレスから、要求鳴きやイタズラが増える可能性があります。ワンちゃんは、1回量の多いおやつよりも、もらえる回数が多い方が満足します。いつもより1回の量を少なくし、あげる回数を増やしてみるのもひとつの方法です。砂糖や脂肪分に配慮したおやつも、ぜひお試しください。
ダイエット中のワンちゃんにオススメのアイテム
ワンちゃんのダイエット【運動編】
ワンちゃんは小型犬・大型犬など犬種に関係なく、思う存分運動させてあげてください。特にダイエット中は積極的に運動を取り入れましょう。散歩と遊び、それぞれで運動不足を改善する方法は、下記のとおりです。
散歩で運動不足を改善する方法
ワンちゃんの散歩は1日2回が目安で、1回あたりの時間は、健康なワンちゃんなら小型犬で15~30分、中型犬で45分、大型犬で60分以上が理想的です。
しかし、肥満のワンちゃんにいきなり長時間の運動は体への負担が大きいため、短時間の散歩から始めて徐々に慣らしてあげてください。坂のある散歩コースを選んだり、公園ではリードを長くして自由に走れるようにしたりして、ワンちゃんが楽しみながら運動できるような工夫をしてあげましょう。
遊びで運動不足を改善する方法
散歩に行く時間が確保できなかったり、天候によって外出が難しかったりする場合は、飼い主さんがおもちゃを使って一緒に遊ぶことで、十分な運動量を確保することが可能です。
ボールを使った持ってこい遊びや、ロープを使った引っ張りっこ遊びなどはストレス解消になり、飼い主さんとのコミュニケーションも深まります。
ダイエット中のワンちゃんにオススメのアイテム
ワンちゃんの肥満リスクを理解し、健康管理を心掛けよう
どんなワンちゃんもまずは太らせないこと、そして適正体重を維持することが大切です。ワンちゃんの健康管理は、飼い主さんの責務といえます。もしも愛犬がいつもより重たくなった・大きくなったと感じたら、BCSやMCSを活用してまずは愛犬の状態を確認しましょう。肥満の兆候があればダイエットに取り組むことをオススメします。その際は食事管理だけでなく、運動もプラスすることが重要です。
健康的な減量を行うためにも、ワンちゃんにストレスを与えないためにも、決して飼い主さんの自己流ではなく、獣医師と一緒にダイエット計画を立ててください。
よくある質問
ワンちゃんのダイエットQ&A
- ワンちゃんの肥満の原因は?
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遺伝的に太る犬種もありますが、主に「適正カロリー以上のごはんやおやつの摂取」「運動不足」「避妊手術や去勢手術によるホルモンバラスの乱れ」「多頭飼いの影響」などの原因が考えられます。
- ワンちゃんにオススメのダイエット方法は?
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食事の管理と運動を合わせたダイエットがオススメです。
飼い主さんは愛犬に必要な1日の総カロリー量を把握し、それに則ってごはんやおやつをあげてください。
ワンちゃんが楽しめる散歩などの運動を取り入れましょう。
- ダイエット用フードへの上手な切り替え方は?
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いきなりダイエット用フードに切り替えることが難しい場合は、いつも食べているごはんにダイエット用フードを少しずつ足して、徐々に慣らしていきましょう。
ワンちゃんに負担なく切り替えていくことが大切です。