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【獣医師監修】猫の歯磨きのやり方やコツを紹介

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【獣医師監修】猫の歯磨きのやり方やコツを紹介
猫にとって、口内環境を良好に保つことは健康維持のために必要です。口内環境が悪いと歯周病になってしまい、食生活に支障をきたすだけでなく、内臓疾患などのリスクも高まります。健康維持のためにも歯磨きを習慣化させましょう。

この記事では、猫の歯磨きのコツやオススメのデンタルアイテムを紹介します。猫の健康を守るためにも、早いうちから歯磨きに取り組みましょう。(最終更新日2025年4月23日)

監修

ますだ動物クリニック院長 増田国充先生
ますだ動物クリニック
静岡県島田市向谷3-918-9

北里大学獣医学部獣医学科卒業。専門学校ルネサンス・ペット・アカデミー非常勤講師、日本ペットマッサージ協会とペット薬膳国際協会の講師を務める。東日本大震災における被災動物レスキュー活動などにも参加。一般的な西洋医療のほか、鍼灸治療や漢方、ペットマッサージなどを通して動物の健康に取り組む。

1猫には歯磨きが必要!日常的なケアを目指して

猫の健康管理のために、歯磨きは必要です。野生のネコ科動物は肉食で、肉を食いちぎる際に歯の汚れが落ちやすく、細かく咀嚼せず飲み込むため、口内に汚れが残りにくいといわれています。
一方、飼い猫の場合はキャットフードが主食となります。キャットフードは咀嚼によって細かくなるため、口内に汚れが付きやすくなり、それらが歯周病の原因になってしまいます。そのため、歯磨きを習慣化させることが大切です。

 

猫に歯磨きが必要な理由

猫は歯磨きをしないと、口が臭くなるだけでなく、歯周病や内臓疾患につながる可能性が高くなります。歯周病になると、あごの骨が溶けて歯が抜け、ごはんを食べにくくなるだけでなく、心臓病や腎臓病の発症リスクを高める可能性もあります。また、一度歯周病になってしまうと完治は非常に難しいため、歯周病にさせないためにも歯磨きを習慣化させましょう。

 

猫の歯磨きの頻度

猫の歯磨きは、1日に1回行うのが理想です。難しい場合は、3日に1回程度でも良いでしょう

人は20日程度で歯垢が歯石に変化しますが、猫は3〜5日と短期間で歯石になってしまいます。頑固な歯石は動物病院で、全身麻酔をし、除去処置してもらうしかありません。そうならないためにも、こまめに歯磨きをしてあげましょう。

 

猫の歯周病の症状

歯周病によって引き起こされる健康トラブルの中には命を脅かす疾患もあります。そのため、日頃から愛猫の口腔内が汚れていないか、歯周病になっていないかをチェックしましょう。歯周病の主な症状は、下記のとおりです。

<猫の歯周病の主な症状>
●口臭がある
●歯垢や歯石がついている
●歯茎が赤くなっている
●歯がグラグラしている

猫にこれらの症状がある場合は、歯周病になっている可能性があります。症状がない場合も決して油断せず、定期的な歯磨きを行っていきましょう。

2猫の歯磨きに必要なアイテム

猫の歯磨きに必要なアイテムは下記のとおりです。

<猫の歯磨きに必要なアイテム>
●歯ブラシ
●歯磨きシート
●歯磨きスプレー / ペースト
●ガーゼ など

歯ブラシは猫用のものを選び、口・歯が小さい猫に合ったヘッドが小さいものが良いでしょう。歯ブラシが苦手な猫には歯磨きシートやスプレーなどもオススメです。

 

おすすめ商品

  • シートでふきとるデンタルティッシュ
    指に巻いて歯についた汚れをふき取れるデンタルティッシュ。歯ブラシが苦手な猫や子猫、シニア猫のデンタルケアにもオススメ。無香料・ノンアルコール・パラベンフリーだから、安心してお使いいただけます。
  • デンタルスプレー
    スプレーするだけで手軽にデンタルケアできる。お口をスッキリさせる緑茶乾留エキス・エリスリトール・ビタミンB6配合。

3猫の歯磨きの流れ

猫は口周りを触られるのが苦手なので、普段から触られることに慣らしておくことが大切です。飼い主がスキンシップをはかりながらやさしく口周りを触り、歯や歯ぐきを見られたり触られたりすることに慣れさせれば、歯磨きもしやすくなるでしょう。ここからは、猫の歯磨きの流れを紹介します。

 

1.猫の口周りを触る

猫がリラックスしているときを狙って、顔や口周りをマッサージしましょう。猫がおとなしく、気持ちよさそうにしていたら、優しく保定します。

 

2.歯磨きシートやガーゼで歯を磨く

飼い主は自分の指に歯磨きシートやガーゼを巻き、愛猫の口を開け、歯に触れてみましょう。愛猫が嫌悪感を示さなければ、歯を拭いていきます。奥歯のほうに行けば行くほど嫌がる傾向にあるので、前歯から始めて、犬歯、奥歯へと順に進んでいきます。

歯磨きシートやガーゼに歯磨きペーストやささみのゆで汁、ペースト状のおやつを染み込ませておいてもよいでしょう

 

3.歯ブラシを使う

歯磨きシートやガーゼでの歯磨きに慣れたら、歯ブラシにも挑戦してみましょう。あらかじめ歯ブラシを使って遊ぶなど、歯ブラシに慣らしておくことが大切です。慣れてきたら愛猫が落ち着いているときに歯磨きを始めます。

愛猫を優しく保定したら口を開け、歯ブラシを歯に対して45度の角度で軽く当て、前歯から犬歯、奥歯の順に磨きます。歯ブラシの毛先で歯と歯ぐきの間の汚れをやさしくかき出すイメージで、歯ブラシを小刻みに動かすのがポイントです。歯垢がつきやすい奥歯は特に念入りに行ってください。奥歯を露出するのが難しければ、口の端から歯ブラシを入れ込み、口は閉じた状態で磨いても問題ありません。

 

4.終わったらたくさん褒めてご褒美をあげる

歯磨きが終わったら、愛猫をたくさん褒めて、ご褒美をあげてください。猫にとって歯磨きはストレスです。しかし、少し我慢すればいいことがあると覚えてもらうためにも、特別なおやつをあげたり、飼い主さんがいっぱい遊んであげたりと、歯磨きが嫌な印象にならないようにしましょう。

4猫の歯磨きのポイント

猫は警戒心が強いため、歯磨きは難易度の高いお手入れです。スムーズに行うためにも、あらかじめポイントを押さえておきましょう。愛猫のペースや気持ちを重視し、丁寧に行ってあげてください。

 

愛猫のペースや気持ちを尊重してあげる

歯磨きをする場合、愛猫のペースや気持ちを尊重してあげることが大前提です。歯磨きが苦手な場合は一度に全部の歯を磨くのではなく、「今日は左側だけ頑張ろう」「今日は前歯の裏を磨こう」など、数回に分けてエリア別に磨くとよいでしょう。歯磨き1回にかける時間を短縮することで、愛猫への負担が軽減されます。
 

歯磨きは子猫のうちから始める

歯磨きに慣らすために、まだ乳歯が生えている子猫のうちから歯磨きを習慣化させましょう。猫は生後6ヵ月頃に乳歯から永久歯に生え変わりますが、その後からでは歯磨きに苦手意識を持つ確率が高くなります。子猫のうちは、歯を磨くことよりも、口元や歯に触られることや、歯ブラシに対して抵抗感をなくすことが目的です。

成猫になってから歯磨きを始める場合は、数カ月をかけて歯磨きアイテムに慣らすことから始めてください

 

歯ブラシの代わりになるアイテムを活用する

歯ブラシが苦手な場合は、歯磨き効果のあるおやつやおもちゃを活用したデンタルケアもオススメです。デンタルケアおやつを食べたりおもちゃで遊ぶことで、口内の汚れを落としたり口臭を抑える効果が期待できます。愛猫の年齢や好みに合わせて選んであげましょう。

 

愛猫の気持ちに合わせて可能な範囲で行う

歯磨きは愛猫がリラックスして機嫌がいいときを狙い、無理のない範囲で実践することが大切です。無理強いすると歯磨きへのトラウマを植え付けてしまったり、飼い主とのスキンシップを嫌がるようになったりする可能性もあります。

歯磨き後は必ずご褒美や遊ぶ時間を取るようにしてあげましょう。

 

動物病院に相談する

愛猫の口臭が気になるときや、家庭での歯磨きがどうしても難しい場合は、かかりつけの動物病院に相談しましょう。動物病院で歯磨き処置を行うほか、状態が悪い場合は全身麻酔をかけて歯石を除去する外科治療を行うこともあります。

おすすめ商品

  • プラクト 歯みがきデンタルガム
    プラズマ乳酸菌を配合したデンタルガム。よく噛んで食べることで歯垢を絡めて落とします。素材やサイズなど選べる豊富なラインアップ。
  • らくらくデンタルTOY けりぐるみ
    大人気"けりぐるみ”でデンタルケア。歯の汚れが絡まりやすいメッシュ生地を使用しているから、よく噛んで遊ぶことでデンタルケアができます。

5愛猫の健康を守るために歯磨きを習慣化しよう

愛猫の健康を維持するためには、適切な歯磨きが欠かせません。歯磨きが楽しい時間になるように褒めながら行い、終わったらご褒美をあげる工夫をしながら、家庭での歯磨きを習慣化させましょう。無理強いは禁物です。愛猫との関係性を優先し、おうちでのケアが難しい場合は動物病院を頼りましょう。

6
獣医師さんに聞いてみた!よくある質問 
猫の歯磨きQ&A

猫に歯磨きは必要ですか?
猫には歯磨きが必要です。歯磨きをしないと歯や歯ぐきに汚れや食べカスが付き、歯垢や歯石の原因になります。また、歯周病を引き起こすリスクが高くなるため、定期的に歯磨きすることをオススメします。
 
猫の歯磨きのコツを教えてください。
一度に長時間行うのではなく、短時間で数回に分けて行うことで、猫への負担が少なく歯磨きができます。また、子猫のうちから始めることで、歯磨きへの苦手意識がつきにくくなります。
 
愛猫が歯磨きを嫌がりますがどうすればいいですか?
猫が嫌がるときは歯磨きを行うのはやめましょう。機嫌の良いときに無理のない範囲で行うようにしてください。歯磨きができたらご褒美や遊ぶ時間をたっぷり取ってあげましょう。どうしても歯ブラシが苦手な場合は、歯磨き効果のあるおやつやおもちゃから始めるのもオススメです。