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この記事では、ネコちゃんが下痢になる原因や対処法、家庭でできるケア、下痢を予防するために意識したいポイントなどを紹介します。(最終更新日2024年12月24日)
目次
監修
静岡県島田市向谷3-918-9
北里大学獣医学部獣医学科卒業。専門学校ルネサンス・ペット・アカデミー非常勤講師、日本ペットマッサージ協会とペット薬膳国際協会の講師を務める。東日本大震災における被災動物レスキュー活動などにも参加。一般的な西洋医療のほか、鍼灸治療や漢方、ペットマッサージなどを通して動物の健康に取り組む。
愛猫のうんちから健康状態をチェックしよう
ネコちゃんのうんちは心身の健康をはかるバロメーターです。うんちの変化に気付けるように、普段から愛猫のうんちを観察し、健康なうんちの硬さや色を把握しておきましょう。健康なネコちゃんのうんちの状態は下記のとおりです。
<健康なネコちゃんのうんち>
●固くてコロコロしている
●臭いが強い
●水分を含み、猫砂が付くくらい湿っている
●フードより少し濃い色で黒ずんでいる
●1日の排便回数は1~2回
ここからは、うんちが緩いときや下痢のときに確認しておきたいポイントを大きく3つに分けて説明します。愛猫のうんちがどれに当てはまるか、確認してみてください。
【チェックポイント1】うんちの硬さ
うんちの硬さはうんちに含まれる水分量で決まります。ネコちゃんのうんちは水分量によって「軟便」と「水様便」に分けられます。
軟便
軟便とは、通常便よりも水分が多く、半固形状~泥状になっているうんちです。軟便でも、元気で食欲のある場合は、ストレスや食べ物の影響による一時的な症状の可能性があります。症状が3日以上続くようであれば、動物病院で受診してください。
水様便
水様便とは、うんちの90%以上が水分でサラサラとした液状のうんちです。水様便の場合は小腸性下痢症や大腸性下痢症が考えられるため、早めに動物病院を受診しましょう。
【チェックポイント2】うんちの色や見た目
ネコちゃんの下痢にはさまざまな原因が考えられますが、うんちの色や見た目によって、原因がある程度わかります。愛猫が下痢しているときは、うんちの色にも注目しましょう。
黄土色
ネコちゃんが下痢をしていてもうんちがいつもと同じような黄土色で、嘔吐などほかの症状がなく元気な場合は、急いで動物病院を受診する必要はありません。その代わり、下痢が改善するかご家庭でよく観察しましょう。。
ただし、いつもより黄土色が濃い・薄い場合はジアルジアやトリコモナスといった原虫に感染している可能性があります。肝臓や膵臓に異常がある可能性も考えられるため、動物病院を受診しましょう。
なお、離乳前の子猫はミルクの影響でうんちがやわらかく、色は黄色みがかる傾向がありますが、問題ない場合がほとんどです。
緑色
産まれたばかりの子猫のうんちは健康な状態でも緑色になることが多いです。ただし、成猫が緑色の下痢をした場合は、胃腸障害が起こり、消化スピードが食事に追い付いていないことが考えられます。
寄生虫や感染症の可能性のほか、腸内細菌叢が変化している可能性があります。緑色の下痢が数日続く、元気がない、嘔吐している場合はすみやかに動物病院を受診しましょう。
白色、灰色
ネコちゃんの下痢が白色・灰色の下痢をしている場合は、胆のう障害や胆石症、急性肝炎、膵炎など、膵臓や肝臓に異常がある可能性があります。ネコちゃんが元気だとしても、早急に動物病院を受診してください。
赤色
ネコちゃんの下痢が赤色や血が混ざった下痢の場合は、大腸や肛門などおしりに近い場所からの出血が考えられます。下痢とともに嘔吐がある、元気がない、うんち全体が血で覆われているなどの場合はすみやかに動物病院を受診しましょう。
黒色
ネコちゃんの黒色の下痢は「メレナ」とも呼ばれ、口や鼻、胃、小腸などから出血し、うんちに混ざって出てくるまでに血液が黒くなるため黒色のうんちになります。感染症や胃・小腸などの消化管異常、異物の誤飲誤食などが考えられるので、早めに動物病院を受診しましょう。
粘液便
粘液便は、ゼリー状の粘液が付着しているうんちです。原因は主に大腸炎などが考えられます。
ネコちゃんは健康な状態でも大腸から粘液を分泌していますが、大腸に異常が起きたときは粘液が過剰に分泌され粘液便となります。ただし、普段から粘液便が出やすい体質の子もいます。普段の便と比較してあきらかに粘液量が多い便をしている場合は動物病院を受診しましょう。
【チェックポイント3】うんちのニオイ
ネコちゃんのうんちは臭いものですが、下痢の際にニオイが変化することがあります。普段のニオイを覚えておき、ニオイの変化に気付けるようにしておきましょう。
いつもよりニオイが強い
いつもよりもうんちのニオイが強い場合は、慢性腸炎や膵炎、感染症などが考えられます。うんちに含まれる硫化水素が増加し、腐った卵のようなニオイが強くなっている可能性があります。また、消化不良を起こして消化酵素の分泌バランスが乱れた場合も、うんちのニオイが変化するでしょう。
腐敗臭、すっぱいニオイ
食べ物が腐ったニオイ、すっぱいニオイで下痢をしている場合は、腸炎が疑われます。腸内環境が乱れているときにこのようなニオイになります。
薬品や血液のようなニオイ
薬品や血液のようなニオイで下痢をしている場合は、何らかの疾患や中毒性のあるものを誤食した可能性があります。緊急性が高いので、早めに動物病院を受診してください。
ネコちゃんの下痢の原因
ネコちゃんが下痢になる原因は、食事や住環境、感染症などさまざまです。代表的な原因は下記の通りです。
食事の影響
ネコちゃんの下痢の原因として、ごはんの食べ過ぎや、フードの切り替えでの下痢が考えられます。フードの切り替えは徐々に行うようにしましょう。また、人間の食べ物を食べてしまったときも消化不良を起こすことがあります。
下痢が長期間続く場合は食物アレルギーも考えられるため、動物病院で相談してみても良いかもしれません。
ストレス
引っ越しや家族が増えたなどの生活環境の変化、同居ネコちゃんとの折り合いや過密飼育などがストレスとなり、下痢になる場合があります。生活環境の変化がストレスとなっている場合は、慣れれば治まることも多くあります。
季節の変わり目や冷えによる体調不良
季節の変わり目や冷えが原因で体調を崩し、下痢になることがあります。冬はもちろんですが、夏も冷房や冷たい食べ物飲み物でおなかを冷やさないようにしてあげてください。ネコちゃん自身で温度調節できるよう、ベッドやマットを用意してあげましょう。
誤飲や誤食
洗剤や殺虫剤などの化学物質を誤飲・誤食すると、中毒性の下痢になることがあります。誤飲・誤食したものに毒性がなくても、消化されずに消化管内を進むと、下痢の原因になりかねません。また、アロマオイルや観葉植物の中にもネコちゃんが中毒症状を引き起こすものがあるため、注意してください。
そのため、おうちは常に片付けて清掃し、ネコちゃんが誤飲・誤食してしまう可能性があるものを出しっぱなしにしないようにしましょう。
\誤飲誤食について詳しくはこちら/
猫や犬の誤飲誤食の危険性 ペットを守るために注意すべきもの
寄生虫
線虫などの寄生虫、一部の条虫(サナダムシ)、原虫の寄生によっても下痢を引き起こします。特に外で生活していたネコちゃんは感染していることが少なくありません。下痢と併せて嘔吐や食欲低下の症状が見られた場合、寄生虫感染の可能性があります。また、外猫ちゃんを迎え入れる際は、ノミなどの外部寄生虫やカエルの捕食によって消化管寄生虫に寄生されていることがあるため、動物病院で診てもらった方が安心です。
ウイルスや細菌感染
ウイルスや細菌によって下痢を引き起こすことがあります。ウイルス性感染症は、パラボウイルスによる猫汎白血球減少症やコロナウイルスによる猫伝染性腹膜炎などが挙げられます。細菌性感染症はカンピロバクター感染症やサルモネラ菌などが挙げられます。
ワクチンや、完全室内飼育、食事で予防できるものもありますが、もしウイルスや細菌性感染症が疑われる場合は速やかに動物病院を受診してください。
疾患の影響
シニアのネコちゃんで慢性的な下痢が続く場合、リンパ腫などの消化管に腫瘍が存在している可能性があります。そのほかにも、下痢が症状として現れる疾患もあるため、下痢が続く場合は必ず動物病院を受診してください。
愛猫が下痢のときの対処法
ネコちゃんが下痢をしているときは、できるだけ安静にあたたかく過ごせるようにしてあげましょう。ここでは、お家でできる下痢の対処法や、動物病院を受診した方が良い場合の基準などをご紹介します。
食事の量を減らす
下痢をした後は、無理のない範囲で食事の量を減らし胃腸を休ませましょう。消化しやすいようにフードをふやかしたり、細かくしたりしてから与えるのがオススメです。
食物繊維を意識した食事を心掛ける
食物繊維には、うんちの状態を安定させる役割があります。おなかの調子がある程度落ち着いたら、食物繊維が豊富なフードやおやつを与えましょう。ただし、量が多すぎると胃腸への負担になるため、与えすぎには注意してください。
状態に合わせて動物病院を受診する
下痢の原因によっては動物病院での対応が急がれる場合もあります。普段から愛猫の様子を観察し、下記のような症状の場合がある場合はすぐに動物病院んを受診してください。診断に役立てられるようにうんちの状態を撮影するか、うんちを採取して動物病院に持ち込むのもオススメです。
動物病院を受診した方が良いネコちゃんの様子は下記のとおりです。
<すぐに動物病院を受診した方が良い主なケース>
●元気がない、ぐったりしている
●食欲がなく、水も飲まない
●血便、黒色便、粘液便、激しい水様便が出る
●嘔吐している
●長期間下痢が続いている
●飲水量が異常に増えている
ネコちゃんの下痢を予防するために家庭でできること
ネコちゃんの下痢を防ぐために、家庭でできることを紹介します。カギとなるのは、「消化に良い食事・腸内環境を整える」「ネコちゃんにとって快適な環境を整える」の2点です。
消化によい食事を心掛け、腸内環境を整える
腸内環境を整えるため、普段から消化に良いごはんやおやつを心掛けましょう。愛猫の体質に合ったものを選んであげてください。粒の大きなフードを食べている場合は、細かくしたりふやかしたりしてあげるのもオススメです。人肌程度に温めてあげるとおなかへの負担も小さくなります。
ネコちゃんの腸内環境を整えるには、乳酸菌を含むごはんやおやつを与えるのも良いでしょう。毎日習慣的に取り入れることで、より効果を実感しやすくなります。
ネコちゃんにとって快適な環境を整える
模様替えや来客、新しいネコちゃんを飼うことがストレスになることもあるので、ネコちゃんの様子を見ながらにしましょう。
季節に関係なく、おなかを冷やさないようにしてあげるのもポイントです。部屋の温度管理はもちろんですが、ネコちゃんが自分で温度調節できるよう、ベッドやブランケットを活用してあげてください。
ネコちゃんの下痢対策にオススメのアイテム
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乳酸菌のちから 生後3ヶ月からのフェカリス菌ネコちゃんの腸内フローラに適したフェカリス菌とオリゴ糖を配合したおやつ。1本5gの食べ切りサイズだから、おやつとしてだけでなく、トッピングや水分補給にもオススメ。
ネコちゃんが下痢のときは様子を見て動物病院へ相談しましょう
下痢にはさまざまな原因が考えられますが、緊急性の高い場合は速やかに動物病院を受診しましょう。すぐに異変に気付けるよう、普段から愛猫の様子やうんちの状態を確認することが大切です。
下痢の予防のため、普段から消化に良い食事を心掛け、ネコちゃんが快適に過ごせる環境を整えてあげましょう。
よくある質問 ネコちゃんの下痢Q&A
- ネコちゃんの下痢ですぐに動物病院に行くべきなのはどんなケース?
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早急に動物病院の受診が必要なのは、「元気がなく、ぐったりしている」「食欲がなく、水も飲まない」「血便、黒色便、粘液便」「激しい水様便が出る」「嘔吐もしている」「長期間下痢が続いている」「飲水量が異常に増えている」などです。
- 下痢をしたとき、お家でできることはありますか?
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できるだけ安静にし、あたたかくしてあげましょう。様子を見ながら食事の量を減らし、胃腸を休ませてください。下痢が落ち着いてきたら徐々に元の食事に戻します。
- 愛猫は下痢になりやすい体質です。普段の生活で気をつけられることはありますか?
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普段から消化に良い食事を心掛け、安心して過ごせる環境を用意してあげてください。また、季節の変わり目や冷えでも下痢になることがあるので、温度管理を意識しおなかが冷えすぎないようにしてあげましょう。