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【獣医師監修】猫が発症するアレルギーの症状や原因・対策を解説

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【獣医師監修】猫が発症するアレルギーの症状や原因・対策を解説
アレルギーとは、特定の異物(アレルゲン)に対して体の免疫が過剰に反応し、かゆみや炎症などの症状を引き起こすことをいいます。人間と同様、猫にもアレルギーは起こりうるもので、その原因や症状はさまざまです。

猫に生じる主なアレルギー疾患は、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、ノミアレルギー、疥癬(かいせん)などが挙げられ、いずれもかゆみを中心とした皮膚トラブルが目立ちます。

この記事では、猫が発症する主なアレルギーの症状と対処法、家庭でのケア方法について詳しく解説します。飼い主さんが正しい知識を身につけ、愛猫の健やかな生活をサポートするための参考にしてください。(最終更新日2025年4月23日)

監修

ますだ動物クリニック院長 増田国充先生
ますだ動物クリニック
静岡県島田市向谷3-918-9

北里大学獣医学部獣医学科卒業。専門学校ルネサンス・ペット・アカデミー非常勤講師、日本ペットマッサージ協会とペット薬膳国際協会の講師を務める。東日本大震災における被災動物レスキュー活動などにも参加。一般的な西洋医療のほか、鍼灸治療や漢方、ペットマッサージなどを通して動物の健康に取り組む。

1猫に発症する主なアレルギーとその症状

猫が発症するアレルギーの原因はさまざまで、ハウスダストや細菌、食べ物、害虫など多岐にわたります。症状は、皮膚の痒みや赤みに加え、口まわりや肉球にまでトラブルが及ぶケースもあります。愛猫に下記のようなサインが見られたらアレルギーを発症している可能性があるため、動物病院の受診を検討してください。

アレルギー症状が悪化し体を掻いたり、噛んだりし続けると二次感染につながり症状が重くなるかもしれません。普段からうちの子の様子を確認し、変化に気付けるようにしましょう。

<猫に現れるアレルギー症状のサイン例>
◯特定の場所を掻いたり舐めたりしている
◯皮膚に赤いブツブツができる
◯被毛が薄くなっている場所がある / 脱毛が進む
◯上唇や口の中にできものができる
◯嘔吐や下痢が続く

ここからは猫の代表的な4つのアレルギー疾患について詳しく解説します。
 

アトピー性皮膚炎

猫のアトピー性皮膚炎には花粉やハウスダスト、細菌など、生活環境内にあるアレルゲンが関係しています。症状として皮膚に強い痒みが現れることが多く、特に耳や下あご、腹部、背中側のおしり近くに症状が現れやすいです。同じ場所を集中的に舐めたり噛んだりするため、悪化すると皮膚がただれて広範囲で毛が抜ける場合があります。

アトピー性皮膚炎になりやすい猫種はペルシャやヒマラヤン、アビシニアンといった遺伝的に皮膚が弱いとされている猫種です。ただし個体差や環境による影響が大きく、すべての種類の猫に発症する可能性があります。花粉の季節やハウスダストがたまりやすい環境など、アレルゲンとの接触頻度が高い状況で症状が悪化するため、早期発見と治療のほか、愛猫が過ごす環境を整えることが大切です。
 

食物アレルギー

食物アレルギーは、特定の食材に含まれるアレルゲン(主にたんぱく質)に対して免疫が過剰に反応することで、皮膚や消化器系に症状が現れます

症状は、頭や首まわり、腹部、手足などに痒みが生じることが多く、下痢や嘔吐を伴う場合もあります。長期的に同じアレルゲンを摂取していると突然アレルギーを発症する場合もあるため、「ずっと同じものを与えているから大丈夫」というわけではありません。

食物アレルギーの原因となる主な食材は、下記のとおりです。

<食物アレルギーの原因となる主な食材>
◯肉類(牛肉、豚肉、ラム肉など)
◯乳製品や卵
◯穀類(小麦、大豆など)

食事の後に口まわりや首回りに痒みが出ている様子があれば、獣医師への相談を検討しましょう。場合によってはアレルギー検査や除去食試験でアレルゲンの特定と療法食への切り替えが必要になります。

 

ノミアレルギー

猫に最も多い皮膚トラブルの1つがノミアレルギーです。猫に寄生したノミが吸血するときに体に入り込む唾液がアレルゲンとなり発症します。症状は背中から腰にかけて強い痒みや赤みが出るのが特徴で、全身に症状が現れる場合もあります。皮膚を掻きむしってしまうと細菌感染につながる恐れがあるため、早急に動物病院を受診しましょう。治療方法は、駆除薬でノミを駆除し、抗炎症剤などで皮膚炎を抑えるのが一般的です。

たった1匹のノミに噛まれただけで発症する場合もあるため、日々の予防が大切となります。完全室内飼育の場合でも、飼い主と一緒にノミが家に入り込むケースがあるため、定期的な予防薬の投与や、生活環境を清潔に保つなどの対策が必要です。
 

疥癬(かいせん)

疥癬は、ヒゼンダニという寄生虫のフンや分泌物に対してアレルギー反応を示すことで発症します。子猫やシニア猫、免疫不全の猫など、抵抗力の弱い猫が感染しやすいとされ、放置すると全身に赤みや湿疹が広がり、猛烈なかゆみによって被毛が抜けてしまうことがあります。頭部や首の周囲から症状が始まり、体全体に進行するパターンが多く、皮膚が厚くゴワゴワした状態に変化することもあります。

猫同士はもちろん、犬や人間にも感染が広がる恐れがあるため、疥癬が疑われたらすぐに動物病院を受診し、抗疥癬虫薬や抗生物質などを用いた治療を受けてください。進行すると食欲不振や元気がなくなって衰弱し、重症化すると命にかかわるケースもあるため、皮膚に異変を見つけた場合は早期対応が求められます。

予防法としては、ノミアレルギーと同じく定期的な予防薬の投与や、生活環境を清潔に保つことが第一にあげられます。
 

2猫がアレルギーを発症した際の対処法

ネコちゃんがアレルギーを発症した際の対処法

猫のアレルギーは、軽症のうちに対処すれば早期に改善する場合もありますが、自然治癒を期待して放置していると症状が悪化するだけでなく、二次感染のリスクも高まります。愛猫の体を守るためにも、普段からよく観察し、アレルギーが疑われた場合は早急に動物病院を受診しましょう。

アレルギーの原因や症状によって治療法は異なります。改善するまでにかかる期間もさまざまです。症状が良くなってきたからといって治療を自己判断で中断してしまうと、症状がぶり返してしまうことがあるので、獣医師に相談しながら根気強く治療を続けることが大切です。

アトピー性皮膚炎の場合はステロイド剤や免疫調節薬、ノミアレルギーや疥癬の場合は駆虫薬や抗生物質など、疾患や症状に応じた投薬が必要になります。食物アレルギーの疑いがある場合は、アレルギー検査や除去食対応を行い、原因となる食材を特定した上で、その成分を含まない療法食に切り替えるのが一般的な流れです。

 

家庭でできる対策とケア方法

動物病院での治療と並行して、家庭ではアレルゲンを遠ざけるほか、皮膚への刺激やストレスを減らす工夫が重要です。生活環境におけるノミやダニ対策としてはこまめな掃除や洗濯が効果的です。愛猫の居場所となるカーペットやベッド、毛布なども定期的に洗濯し清潔に保ちましょう。

食物アレルギーが疑われる場合や、獣医師に特定のアレルゲンを除去するよう指示を受けている場合は、指示に従ったものを与えましょう。フードだけでなくおやつの原材料をチェックすることも必須です。

そのほか、こまめなブラッシングも重要です。皮膚を健康に保つだけでなく、皮膚の変化をいち早く発見できるメリットもあります。また、愛猫がストレスなく快適に過ごせるよう室温を調整したり、環境を整えてあげましょう。
 

オススメアイテム

  • ネココお手入れ シリーズ
    愛猫の皮膚・被毛のケアにオススメ。スリッカーブラシやラバーブラシ、ノミ取りコームなど豊富にラインアップ。
  • グレインフリー おやつ
    穀物不使用で食物アレルギーに配慮したおやつ。天然素材100%のおやつやソーセージなど豊富にラインアップ。
  • ノミダニ取りスプレー
    愛猫の体から、ベッド・おもちゃ等のアイテムにまで使えるスプレー。成虫だけでなく、卵やさなぎにも効くから、効果的に駆除できます。1回の使用で約1カ月間効果が持続。

3猫のアレルギーは早期の治療と、家庭でのケアが大切

猫のアレルギー対策で大切なのは、早期発見と早期治療です。強い痒みや皮膚の炎症を伴うアレルギーを発症すると、猫のQOL(生活の質)は大きく低下します。早期発見し早期に治療を開始することで、症状の悪化を防ぎ、改善につながります。アレルギーは獣医師と連携しながら根気強く治療を行うことと、家庭でのケアを続けることが大切です。

アレルギーを引き起こす原因は、花粉やハウスダスト、ノミやダニ、特定の食材など多岐にわたり、症状の出方は猫によって異なります。愛猫の快適な日々のために、飼い主さんはアレルゲンを遠ざける生活環境づくりや、ストレスを軽減する工夫をしてあげてください。

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獣医師さんに聞いてみた!よくある質問 
猫のアレルギーQ&A

猫のアレルギーの原因は何ですか?
花粉やハウスダスト、ノミ、ダニ、特定の食材などが代表的な原因です。アレルギー反応を示す原因には、個体差が大きく、同じ環境下でも症状が出ない猫もいれば、強いアレルギー反応を示す猫もいます。
 
猫のアレルギーは治りますか?
アレルギーの完治は難しいといわれていますが、獣医師指導のもと、適切な治療や環境整備、食事管理、家庭でのケアを根気強く続けることで症状の緩和とコントロールを目指すことができます。
 
アレルギーを持つ愛猫のために家庭でできることとは?
こまめに掃除や洗濯をし、ハウスダストやノミ・ダニなどのアレルゲンから極力遠ざけてあげましょう。そのほか、毎日のブラッシングで被毛を清潔に保ち、皮膚の状態も確認しましょう。愛猫がストレスなく、快適に過ごせる環境を整えてあげることも重要です。