功能/取件
初めてネコちゃんをお迎えした飼い主さんも、
長く一緒に暮らしている飼い主さんも、
なにかとお悩みを抱えがちなのが
トイレまわりではないでしょうか。
今回は、トイレや猫砂の選び方から
おすすめの置き場所、
しつけ方やニオイ対策
などについてご紹介します。
监理
宮崎 謙二郎先生 /
東京農工大学附属動物医療センター
獣医師。日本獣医がん学会所属。北里大学獣医学部獣医学科卒業後、千葉県内動物病院勤務を経て2018年より東京農工大学動物医療センター総合研修医。全過程修了後、同大学腫瘍外科に転科。
猫好きであるが、中でもハチワレ柄を愛してやまない。
トイレや猫砂にはさまざまな種類があります。
お部屋の環境やネコちゃんの個性に
合わせて選ぶようにしましょう。
トイレの種類と選び方のコツ
一般的に、トイレの大きさは体長の1.5倍程度がよいとされています。シンプルな箱型のものもあれば、屋根付きのドームタイプ、上段に猫砂、下段に専用のシートを敷いて使うシステムトイレなど、種類は豊富。ネコちゃんが怖がらずリラックスして使えるものを選びましょう。
成長に伴いトイレが小さく感じられるようになったら、買い換えも必要です。
砂の種類と選び方のコツ
トイレ同様、猫砂についてもそれぞれに好みがあります。好みを探るためにいくつか試してみるとよいでしょう。代表的な猫砂の種類と特徴をご紹介します。
吸水性がよく尿が固まりやすいため処分しやすい。粒が細かく、肉球の間に挟まりやすい面も。
木の自然な香りで消臭効果が高く、可燃ごみとして処理できる。中にはトイレに流せるものも。
軽いため持ち運びやすいが紙ホコリが舞うことも。白色タイプは尿の変化に気づきやすい。
おからなどの食品でできているため、猫砂を食べがちな子には安心。
飛び散りやすいがホコリは立ちにくい。
トイレは静かで人の目が届きやすい場所に置きましょう。ポイントは「人の出入りや行き来がない場所」「大きな音がしない場所」「寝床から遠すぎない場所」「食事場所から離れた場所」です。
洗濯機やドライヤー、テレビやオーディオなどの大きな音が近くですると、イヤがってトイレに入らないことも。ネコちゃんが落ち着いてトイレを使える場所であることはもちろん、人が汚れたトイレに早めに気づいて片付けられる位置に設置しましょう。
トイレの数は多いほうがいい?
多頭飼いの場合は、2匹なら3つなど、「匹数+1」でトイレを設置するのがおすすめ。基本的に、他の子が排泄済みのトイレを別の子が続けて使うことは少ないからです。
また、1匹でもトイレが複数あると、排泄物を取り除いてあげられない留守中なども安心です。
トイレのサインに気づこう
なんとなく落ち着きがなくなったり、床のニオイを嗅ぎだしたりしたら、トイレが近いサイン。トイレに誘導し、上手にできたら褒めてあげましょう。自分の尿のニオイでトイレを覚えさせるため、最初は汚れた猫砂を少し残すのがコツです。
トイレのまわりをウロウロしたり、外から猫砂を触ったりするのは、トイレが安全なものか確認しているということ。トイレでおしっこができるようになれば、ウンチができる日も近いといえます。
トイレを失敗したら? 原因と対策
原則として、トイレを失敗してしまっても怒らないことが大切。ネコちゃんが「排泄=してはいけないこと」と認識し、逆効果になってしまいます。
なぜ失敗するのか、どう対策したらよいかは、以下を参考にしてみてください。
粗相のニオイはしっかり消臭
自分の排泄物のニオイが残っていると、そこがトイレと認識してしまうことも。粗相を見つけたら、ペット用の消臭剤などを使ってしっかりニオイを取り除きましょう。洗える素材のものであれば洗濯がおすすめ。
どうしても同じ場所で粗相をしてしまう場合は、そこにもうひとつトイレを置いてみるのもひとつの手です。
トイレや砂、設置場所を見直す
ネコちゃんにとってトイレの環境がよくないと、入りたがらないことも。先ほど挙げたように、大きな音がする家電がそばにないか、人の行き来が多い場所ではないか、ネコちゃんが好まない砂ではないかなど、不快な原因がないか見直してみましょう。
ネコちゃんのトイレのお悩みで
多く耳にするのが、ニオイです。
トイレの形や置き場所の他に、
どのような対策があるのでしょうか。
こまめに猫砂を交換する
ネコちゃんが排泄をするたびに汚れた部分の猫砂を取り除きましょう。猫は排泄前に砂を掘り、排泄後に埋めるという習性があるため、汚れた猫砂を取り除いたあとは十分な量を足してあげます。
また、日々掃除しているつもりでも取り切れていない汚れがあったり、室内の湿気を吸収して猫砂の吸収力が弱まっていたりすることも。そのため月に1回をひとつの目安として、全部の猫砂を交換するのがおすすめです。そのタイミングでトイレを丸洗いするとさらによいでしょう。
猫砂の種類を見直してみる
留守がちでなかなか掃除ができないときは、消臭力の高さをうたう猫砂を使ってもよいでしょう。ヒノキで消臭が期待できる木タイプのものなどがおすすめ。
「帰ってくると猫砂で床が汚れていて……」といったお悩みには、専用のトイレマットを敷いたりするとよいでしょう。また、トイレの入り口を壁側に向けてみたり、肉球の間にハマりにくい大粒タイプの猫砂に変えたりすることで解決できるケースもあります。
注意! いいニオイで打ち消すのはNG
ニオイが気になるからといって、他の香りで打ち消す方法はネコちゃんにとって危険なことも。よく知られているものとしては、エッセンシャルオイルやアロマオイル。なめるだけでなく、空気中に漂う成分を皮膚や呼吸器から吸収しても、中毒症状が出ることがあります。
また、猫は柑橘系やハーブなどの香りが苦手といわれています。
ネコちゃんと一緒に暮らしている空間では、アロマオイルを焚かない、アロマ成分の入ったスプレーやハンドクリームを使わないなど、気をつけるようにしましょう。
ニオイ対策に香りのスプレーを使う場合は、ペット用、特にネコちゃんOKのものを使いましょう。ただ、愛猫の健康のためにも「よいニオイで相殺」ではなく根本から「しっかり消臭」を徹底するのがおすすめです。
獣医師さんに聞いてみた!
猫のトイレQ&A
今までできていたのに、トイレを失敗するようになってしまいました。
スプレー行為やストレスなど、原因はさまざま。愛猫を観察して見極めましょう。
・スプレー行為縄張りをアピールするために濃いおしっこをかけることで、いわゆるマーキングです。尻尾を立てて、少なめの量を家具や壁などトイレ以外の場所にかけていたら、それはスプレー行為。去勢・不妊手術でおさまる可能性が高いです。手術をしていないネコちゃんの場合は、メリット・デメリットを踏まえて検討してみてください。
・トイレの形やサイズ、猫砂が気に入らない子猫のときに買ったトイレを使い続けていませんか? トイレが狭くなってきて、上手に排泄がしづらくなっているのかもしれません。サイズを見直してみましょう。
・環境の変化がストレスになっている「最近工事の音がうるさい」「夏場でトイレの近くに扇風機を置くようになった」「新しい家族が増えた」など、生活環境のちょっとした変化で粗相してしまっている可能性もあります。原因を突き止めて、元の環境にできる限り近づけられるよう工夫してみましょう。
これらの条件が問題ないにも関わらず失敗してしまう場合は、膀胱炎などのなんらかの病気が隠れていることも。排尿や排便をするときの様子や色・形状、回数などをよく観察し、気になることがあれば動物病院を受診するようにしましょう。
トイレを変えたいのですが、なかなかうまくいきません。
切り替えは、根気よく少しずつ進めましょう。
新しい環境はネコちゃんにとってストレスになります。慣れない環境に戸惑い、排泄を我慢して病気にならないよう、十分に気を配ってあげてください。
・トイレの場所を変えたい最初は元の場所のトイレはそのままに、新しい場所にトイレを足すようにします。ニオイのついた猫砂を少し混ぜておくといいでしょう。ネコちゃんのトイレサインが確認できたら、新しいほうに誘導してあげます。
・トイレ自体を変えたい新しいトイレを今までと同じ場所に置きましょう。猫砂も、今までと同じものを入れ、トイレ以外は変えないことが大切です。もし警戒しているようであれば、ネコちゃんを新しいトイレの上に乗せてみましょう。それでも慣れないようであれば、今までのトイレを隣に置いて警戒心を薄れさせたり、複数のうち1つを変えたりするなどして様子を見ていきましょう。
・猫砂を変えたいまずは5:1くらいの割合で、元の猫砂と混ぜて入れます。使ってくれるようであれば、徐々に新しい砂の割合を増やし、最終的に新しい猫砂に変えるようにしましょう。
ネコちゃんは基本的にキレイ好きで、トイレの好みもさまざま。
愛猫が今のトイレを気に入っているか、ストレスなく使えているかなど観察し、
人も猫も快適なトイレ環境を整えたいものですね。